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IntelがHabana Labsを買収、Nervana製品の立ち位置は?イスラエルのAIスタートアップ

Intelは2019年12月16日(米国時間)、AIアクセラレーター関連の新興企業であるイスラエルのHabana Labs(以下、Habana)を約20億米ドルで買収したと発表した。これは、驚くべき動きである。Habanaは、Nervanaの競合だからだ。

» 2019年12月18日 09時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

 Intelは2019年12月16日(米国時間)、AIアクセラレーター関連の新興企業であるイスラエルのHabana Labs(以下、Habana)を約20億米ドルで買収したと発表した。

 これは、驚くべき動きである。HabanaはIntelが以前買収したNervanaと競合しているからだ。米国カリフォルニア州サンディエゴを拠点とするNervanaは、2016年8月にIntelによって買収された(買収額は約4億米ドルと言われている)。また、Intelはその翌月に別のAIチップ関連の新興企業であるMovidiusを買収している(Movidiusの製品ラインはエッジデバイスのコンピュータビジョンに向けたものである)。

 Habanaの「Goya」ならびに「Gaudi」というチップは、Intelが一般提供を開始したばかりのNervanaのチップ「NNP-T」「NNP-I」と直接競合する製品である。HabanaとNervanaの製品はいずれも、データセンターにおける学習と推論をターゲットにしている。

Intelは「Nervana NNP-T」「同NNP-I」の一般提供を始めたばかりだ 画像:Intel(クリックで拡大)

 Nervana、Movidiusに続く3つ目のAIチップ企業の買収は、IntelがAIチップ製品を正しく理解していないということの表れなのだろうか。

 Moor Insights and StrategyのアナリストであるKarl Freund氏は「そうとも言えるが、一方で、コンピューティングの将来においてAIの重要性を示す動きでもあるのではないか。Intelが、Nervanaの買収が、ハードウェアの観点では誤りかもしれないと認識しているならば、それを正し、耐久性のあるアーキテクチャ面での利点を備えたプラットフォームを獲得するのが最善の策だろう」と述べた。

 Habanaの買収によって、Nervanaはどのような立場に置かれる可能性があるのだろうか。IntelがHabanaの製品を優先し、NNP-T、NNP-Iという製品シリーズを脇に追いやる決断を下す可能性は否定できない。

 Freund氏は、Nervanaの主な価値はそのソフトウェアにあると考える向きが多いことから、ハードウェアをなくしても同社の貢献度は変わらないと指摘している。

 Freund氏は「Nervanaは豊富なAIソフトウェアのセットをもたらした。それはIntelにとって恒久的な資産である」と述べた。

 選択肢はもう一つある。Tirias Researchの主席アナリストであるKevin Krewell氏は、IntelがNervanaとHabanaの両方のハードウェアソリューションを市場に出すことを決断する可能性もあると指摘した。Krewell氏は「Intelは両方のソリューションを提供し、どちらのアーキテクチャが最も勢いを得るかを市場に決めさせるだろう。現時点では、AIでの長期的な勝者を予想するのは難しい」と述べた。

 Krewell氏は、Habanaは単に、見逃すには惜しすぎるほど魅力的なターゲットなのかもしれないと説明した。「Habanaは早期に、MLPerfベンチマークで優れた数値を達成した上に、Facebookなどの企業と良い関係を結んでいる」(同氏)

2019年6月に発表されたHabana Labsの「Gaudi」は、ResNet-50のベンチマークで新記録を樹立した 画像:Habana Labs

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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