第4章「電子部品」からコンデンサについて解説する。コンデンサの構造や働き、種類を説明しよう。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第33回である。
本シリーズの前々回から、第4章「電子部品」の概要を説明している。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。前回は「4.1 LCR部品」の第1項「4.1.1 インダクタ」の概要をご紹介した。今回は、第2項「4.1.2 コンデンサ」の概要を解説する。
コンデンサは、誘電体の薄膜を2枚の電極(導電体)で挟んだ構造をしている。コンデンサに電圧(V)を加えると、静電容量(C)に応じた電荷(q)を蓄積する。すなわち「q=V×C」の関係がある。静電容量Cは、薄膜の面積(A)に比例し、誘電体の厚み(d)に反比例し、誘電体の誘電率(ε)に比例する。すなわち「C=ε×A/d」の関係がある。ここで誘電率(ε)は、真空中の誘電率(ε0)と比誘電率(εr)の積で表現することが多い。比誘電率の高い材料ほど、同じ寸法でも大きな静電容量のコンデンサとなる。
コンデンサには主に、2つの働きがある。1つは、電荷を蓄積することによって、電圧の変化に応じて電流を充放電すること。もう1つは、交流回路や高周波回路などでリアクタンス(抵抗成分)として働くことである。これら2つの働きにより、さまざまな用途にコンデンサが使われている。具体的には電源電圧やバイアス電圧などの安定化や脈流の平滑化、直流に重畳した高周波雑音の吸収(デカップリング)、オフセットした交流回路における直流(オフセット)成分のしゃ断(カップリング)などがある。ありとあらゆる電子機器が搭載していると言えるほど、コンデンサはごく普通に使われている。
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