今回は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)を取り上げる。積層セラミックコンデンサの特長と、小型化、大容量化の推移をたどる。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第34回である。
本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明している。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。前回からは、「4.1 LCR部品」の第2項「4.1.2 コンデンサ」の概要をご紹介している。前回はコンデンサの全体像をご説明した。今回は代表的なコンデンサである、「積層セラミックコンデンサ(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitors)」を解説する。
積層セラミックコンデンサ(MLCC)は「積層セラミックチップコンデンサ」とも呼ばれ、生産数量ベースではコンデンサの中でおよそ8割を占める、最も数多く使われているコンデンサである。その名称の通りにセラミックを誘電材料とする「セラミックコンデンサ」の一種で、チタン酸バリウムあるいは酸化チタンなどの誘電体薄膜とニッケルあるいはパラジウム、銀パラジウムなどの内部電極薄膜を多数積層している。外形は直方体(板状)であり、表面実装型の受動部品である。
なおセラミックコンデンサにはMLCCのほかに、リード線を備えた挿入実装型があり、さらに単板型と積層型に分かれる。
積層セラミックコンデンサ(MLCC)の特徴には、小さく薄いことと、高周波特性に優れること、耐湿性が良好であること、寄生抵抗(等価直列抵抗(ESR))が低いこと、などがある。製品動向としては小型化と大容量化が並行して進んでいる。
小型化の世代交代について年代別にみてみよう。西暦2000年には1608サイズ(長さ1.6mm×幅0.8mmの製品)がMLCCの45%近くを占めていた。それが2004年には1005サイズ(長さ1.0mm×幅0.5mmの製品)が最多となり、2009年にはMLCCの50%近くを占めるようになる。2018年には次の世代である0603サイズ(長さ0.6mm×幅0.3mmの製品)が最多となり、短くとも10年後の2028年までは、数量ベースのシェアを伸ばしていく。2028年におけるシェアは45%と予測される。
さらに次の世代である0402サイズ(長さ0.4mm×幅0.2mmの製品)が、2010年以降は数量を増やしつつある。2017年にはMLCC全体の10%強を0402サイズが占めるようになった。2028年には、MLCC全体の20%を0402サイズが占めると予測されている。
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