「2019年度版 実装技術ロードマップ」を紹介するシリーズ。今回から、「4.2 EMC対策部品」の概要を解説していく。まずは、EMC規制の始まりやEMC対策の考え方、EMC対策部品の主な機能について解説する。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第39回である。
本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明している。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。前回までは「4.1 LCR部品」の概要をご紹介してきた。今回からは「4.2 EMC対策部品」の概要を解説していく。
1970年代後半〜1980年代前半にデジタル機器が一般住宅やオフィスなどに普及していくにつれ、デジタル機器が放射する電磁波がテレビ放送やラジオ放送などの無線放送/通信に影響を与えるという受信障害の問題が顕在化した。そこで、デジタル機器が放射する電磁波(不要ふく射)の強度を一定値(限度値)以下に抑える取り組みが始まった。
取り組みが最も早かったのは米国で、連邦通信委員会(FCC)が1981年にデジタル機器の不要ふく射に関する規制を開始した。国際的にはCISPR(国際無線障害特別委員会)が、情報処理装置と事務処理装置に関する不要ふく射の規制値と測定方法を1985年に発行した。
日本では法規制ではなく、関係業界による自主規制で問題に対応した。関係する業界団体が共同で「VCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)」を1985年に発足させ、取り組みを始めた。VCCIは一般財団法人として現在も活動を続けている。
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