今回は、表面実装型抵抗器の主流である「チップ抵抗器」を取り上げる。チップ抵抗器の進化の方向性は大きく「小型化」「高放熱化」「耐硫化」の3つがある。それぞれについて解説する。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第38回である。
本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明している。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。第33回から第37回(前回)までは「4.1 LCR部品」の第2項「4.1.2 コンデンサ」の概要をご紹介してきた。今回は第3項「4.1.3 抵抗器」の概要を解説する。
抵抗器は大別すると、表面実装型と挿入実装型に分かれる。現在の主流は「チップ抵抗器」と呼ばれる表面実装型で直方体の抵抗器である。チップ抵抗器の外形寸法は、日本ではミリ単位、米国ではインチ単位で規格化されている。例えば日本の「1608」サイズとは長さ(長辺の寸法)が1.6mm、幅(短辺の寸法)が0.8mmであることを意味する。これが米国だと「0603」サイズと表記されるので、注意されたい。
チップ抵抗器が進化する方向を大別すると、「小型化」と「高放熱化」「耐硫化」がある。小型化は1980年代からずっと続いてきた進化であり、将来もしばらくは続くものとみられる。
まずは小型化の動向を簡単に説明しよう。チップ抵抗器で最も出荷数量の多いサイズは「1005」(1.0mm×0.5mm)サイズである。前の主役である「1608」(1.6mm×0.8mm)サイズは数量を減らしつつある。一方で次の主役になるとみられる「0603」(0.6mm×0.3mm)サイズが数量を増やしている。
用途別にみると小型化が最も進んでいるのは、スマートフォン向けである。スマートフォンのプリント基板が搭載するチップ抵抗器の主流は2年〜3年前は「0603」サイズだった。それが最近の機種では、「0402」(0.4mm×0.2mm)サイズがチップ抵抗器の半分以上を占めるようになっている。
さらに小さなチップ抵抗器として2011年10月には「03015」(0.3mm×0.15mm)サイズが製品化された。現在では「0201」(0.2mm×0.125mm)サイズの開発が抵抗器メーカー各社で進んでいる。
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