ここで、東アジアの真の半導体製造規模を分析するためには、「生産国基準」のデータがどうしても必要である。しかし、残念ながら、そのデータがない(少なくとも筆者は入手できていない)。
そこで、半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials International、SEMI)の前工程製造装置および後工程製造装置の地域別売上高データを、半導体が各地域でどれだけ製造されているかの指標とする。というのは、半導体は典型的な設備産業であり、設備投資と半導体製造の間にはある程度の相関関係があるからである。
図3に、地域別の前工程装置市場の推移を示す。2002年からリーマン・ショックが起きた2008年頃までは、日本、米国、韓国、台湾がトップ争いを展開している。その後、2009〜2015年までは、日本が脱落し、米国、韓国、台湾の争いに集約される。これは、世界半導体売上高1位のIntel、2位のSamsung、3位のTSMCが、設備投資を競って行っていたことに起因する。
ところが、2016年以降は、韓国が飛躍的に成長する。また、低迷していた日本も米国を抜いて増大し始める。これは、ビッグデータの時代に入ってメモリ市場が爆発的に成長し始めたことによる。
一方、2012年頃から中国市場が増大し始め、2015年には日本と米国を抜いて3位になり、2018年には台湾を抜いて2位に躍進する。さらに2019〜2020年には、1位の韓国にほぼ並ぶと予測されている。これは、中国が国家政策「中国製造2025」に基づいて、国内にDRAMやNAND型フラッシュメモリ(以下、NAND)の巨大工場を建設し始めたからである。
このままの勢いで行くと、1位に韓国、2位に中国、3位に台湾、4位に日本となり、前工程市場の地域別ランキングは、東アジアが上位を独占することになる。そして、東アジア全体の割合は、2002年までは約45%だったが、2004〜2015年には65〜72%を占めるようになり、その後も増大し続けて2020年には約80%になると予測されている。
次に、地域別の後工程装置市場の推移を見てみると、2002〜2009年までは、日本、米国、台湾、韓国が、トップ争いを行っている(図4)。
ところが、2009年以降は、日本、米国、韓国が低下する一方で、中国が市場を増大させる。2013年以降は、台湾と中国が1位争いをするようになる。そして、2017年には、1位が中国、2位が台湾、3位が韓国、4位が日本になり、前工程装置と同様に、東アジアの4地域が上位を独占する。
東アジア全体のシェアは、2001年には43%だったが、その後、急激に増大し、2005年には68%のピークを示す。そのシェアは一度低下するが、2007年から再び上昇し始め、2017年には72%を占めるに至っている。
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