冒頭で述べた通り、WHOは、新型コロナウイルスについて、「パンデミックの状況にある」見解を示した。しかし、地域ごとに、その状況は異なっている。以下では、東アジア4地域がどのような局面を迎えているかを見てみたい。その上で、パンデミック後の東アジア(つまりは世界)の半導体製造の行方を占いたい。
新型コロナウイルスは、中国湖北省の武漢を中心に感染が拡大した。その中国では、最も多く感染者と死亡者を出した。3月12日現在で、感染者数80793人、死亡者数3169人となっている。
しかし、毎日新たに何人感染者が出たか、そして死亡者は新たに何人出たかをグラフにしてみると、既に中国は終息に向かっていることが分かる(図11)。新たな感染者数は、2月中旬以降、急速に減少しており、3月7日以降は100人以下に減少した。また、新たな死亡者数も、2月25日以降、急減しており、3月3日以降は約30人程度で推移している。
中国は武漢を封鎖し、首都の北京への出入りを制限するなど、強制的な封じ込めを行った結果、確実にその効果が出たということだ。武漢には、NANDを製造している長江ストレージがある。そのような製造業が本格稼働するには、まだ時間がかかるかもしれないが、トンネルの出口ははっきり見えてきたと言えるだろう。
図12に、韓国における新型コロナウイルスの新規感染者数と死亡者数の推移を示す。2月29日には、新規の感染者数が800人を超え、合計の感染者数でも中国に次ぐ人数になった。しかし、韓国は、毎日1万件を超えるPCR検査をやりまくり、感染者の封じ込めを試みた。
あまりのPCR検査の多さに、「韓国では医療崩壊が起きている」というような批判もあったが、3月に入ると新規感染者数は減少の一途をたどっている。また新規の死亡者数も、最大6〜7人で推移し、今のところ増える兆しはない。以上から、韓国も、感染拡大のピークは過ぎ、終息に向かいつつあると思われる。
台湾は、新型コロナウイルスの感染拡大を完全にコントロールできているのではないか(図13)。新規の感染者は、2月7日と3月1日の5人が最大で、その他の日は0〜2人になっている。そして、死亡者は、2月16日の1人しか出ていない。
中華圏にあり、中国大陸と人の往来が多いはずの台湾で、この感染者数や死亡者数の少なさは、見事というほかない。一体、どのような防御を行ったのか? 他の地域の参考にするためにも、その手段を公開して欲しいと思うほどだ。
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