中国陝西省西安市にある西安交通大学(Xi'an Jiaotong University)のエンジニアたちは、ロボットメーカーであるYouibotと現地警察との協業により、ショッピングモールなどの大勢の人が集まる場所に、5G(第5世代移動通信)対応の体温スクリーニングロボットを導入した。これらのロボットは、熱探知カメラやその他センサーを搭載し、最大10人の体温を同時に測定することが可能だ。また、顔認証システムも搭載するため、体温の高い人物を検出すると、その通知を受けた現地当局が、その特定人物に対してコロナウイルスの検査を実施することができるという。
米国で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたワシントン州でも、医師たちがロボットを活用している。医療専門家たちは、InTouchが開発した遠隔医療デバイス「Vici」を利用し、パノラマ/ズーム/チルトカメラや、大型ディスプレイ、マイクロフォン、スピーカーなどを使って、患者を遠隔診察しているという。
この他にも、コロナウイルスとの戦いで活躍しているハイテクツールとして、AI(人工知能)が挙げられる。AIは、通常群衆が集まる場所に導入されている、Youibotの体温スクリーニングロボットと連携して使用されている。BaiduやSenseTimeなどの企業が、それぞれ独自の顔認証アルゴリズムをカスタマイズし、公共の場で保護マスクを着用していない人物を検出できるようにしている。また、SenseTimeが開発したシステム「Smart A.I. Epidemic Prevention Solution」は、カメラシステムや温度センサーからデータを収集して、ウイルスに感染している可能性がある人物を特定することができる。
中国では、ほとんどの都市に監視カメラが導入されており、最近では温度検出ロボットも活用されていることから、AIプラットフォームは、コロナウイルス感染症拡大の抑制や鈍化に貢献している。SenseTimeは、「当社の『SenseCare Smart Health Platform』は、既にさまざまな病院で広く導入されている。画像処理技術を使用すれば、医師たちが疑わしい肺炎症例の画像を分析して、肺の異常レベルを評価できるようになるため、診断手順の高効率化を実現している。また、われわれの保有するAI技術関連の知識だけでなく、薬理学や遺伝子分析などの分野における研究実績に関する知識も共有することにより、医療機関や研究所がコロナウイルス感染症の治療法を開発できるよう、サポートしている」と述べている。
AlibabaとTencent Holdingsは、国家レベルでコロナウイルス感染者を追跡することが可能な、色ベースのシステムを開発した。中国政府はこのシステムを使用し、コロナウイルス感染者であるかどうか、また感染する危険性があるかどうかを示す、さまざまな種類のQRコードを割り当てることで、自主的な隔離措置を取ることができるという。このシステムは既に浙江省杭州市で、数百万人がダウンロードしているAlpayアプリを介して試験運用が始まっている。緑のコードを割り当てられれば自由に旅行が可能だが、黄色や赤のコードを割り当てられている間は、旅行の前に7〜14日間の検疫が必要になる。
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