最後に、Galaxy S20 Ultra 5Gのカメラ部を詳しくみてみよう(図6)。1億800万画素のカメラを中心に超広角カメラ光学的望遠、3D ToF(Time of Flight)カメラで構成される4眼カメラという構成になっている。日本のキャリアから販売されるGalaxy S20はこれよりもずいぶん仕様が落ちるものとなっている。
今やミドル仕様のスマートフォンでも3眼、4眼は当たり前になっている。Galaxy S20 Ultra 5Gのカメラ部はそれらミドル仕様のスマートフォンに比べて2倍近い面積を誇る最大級のものであった。面積が大きいとはそれだけ大きいセンサーを搭載できるということである。センサーが大きいとはより多くの光を取り込むことができ、同時に多くの画素を集積することができる。すなわち、カメラ部の面積が大きければ、性能は確実に上がるということだ。カメラ部の面積は次世代モデル、次々世代モデルにはコンピューティング基板の面積よりも大きくなるのではないだろうか。
2020年は日本にとって5G元年である。今回報告したGalaxyを基準にしつつ、今春から今夏にかけて日本メーカー製を含め国内で発売される5Gスマートフォンを網羅的に分解、解析していく予定である。
新型コロナウイルス感染拡大の影響などがあって若干、出張やセミナーといった仕事が減っているが、こうした時期こそ解析をジャンジャン進めアーカイブを充実させていきたい。本連載の次々回あたりに日本メーカー製5G対応端末を2機種ほど扱う予定である。コロナ影響など未曽有の危機に直面している社会情勢でも、次世代に向けた技術進化は確実に日々進んでいるはずである。一時たりとも現状認識の手を緩められない。
ルネサス エレクトロニクスや米国のスタートアップなど半導体メーカーにて2015年まで30年間にわたって半導体開発やマーケット活動に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見と経験を持っている。現在は、半導体、基板および、それらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの代表取締役兼上席アナリスト。テカナリエは設計コンサルタントや人材育成なども行っている。
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