今回は、自動運転を支えるMEMSセンサーと、その応用について解説する。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第49回である。
本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明してきた。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。第45回からは、「4.3 センサ」の概要を紹介している。
前々回と前回は、自動車におけるセンサーの技術動向を前後編でご説明した。今回は、自動運転システムを支えるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)センサーとその応用について解説する。
MEMSセンサーについて解説する前に、自動運転システムでは「センサーフュージョン」と呼ぶ技術が必要とされることを述べる。高度な自動運転システムでは、車両の現在位置や走行状態、移動の方向、移動の途上における道路状況などを把握しておかなければならない。単独のセンサーから得られる物理量だけでは、情報が不足したり、情報そのものが得られなかったりすることがある。
そこで、複数のセンサーから得られる物理量を組み合わせることで、自動運転に必要かつ十分な情報を得ようとする。この技術を「センサーフュージョン」と呼ぶ。例えば車両の前方を監視するカメラは高い分解能で前方の状況をカラー撮影できるものの、暗がりや濃霧などの天候変化では性能が著しく低下する。一方、ミリ波や準ミリ波などのレーダーは天候変化に強いものの、カラー情報は得られず、分解能は低い。両者を組み合わせることで、前方状況の認識能力が高まる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.