今回から、車載用のHMI(Human Machine Interface)デバイスを紹介する。昔の自動車に比べ、現在の自動車には、運転操作とは直接関係のない車載用HMIデバイスの搭載が増えている。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第62回である。
本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明してきた。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。
第57回からは、「4.5 入出力デバイス」の概要を紹介してきた。「4.5 入出力デバイス」が取り上げる入出力デバイスは主に3つ。「ToF(Time of Flight)デバイス」と「タッチパネル」「車載用HMI(Human Machine Inteface:ヒューマン・マシン・インタフェース)デバイス」である。
前回(第61回)までは、3回にわたって「タッチパネル」の概要をご説明してきた。今回からは、「車載用HMI(Human Machine Inteface:ヒューマン・マシン・インタフェース)デバイス」の概要をご紹介する。
車載用HMIデバイスは自動車と運転者をつなぐデバイスである。最も古くから存在する車載用HMIデバイスは、運転操作に関わるものに限られていた。すなわち運転操作そのもののHMIデバイスである。ハンドル(ステアリング)、ギアシフタ(クラッチペダルとシフトレバー)、ブレーキペダル、アクセルペダル、スターター(エンジン起動スイッチ)などだ。
もちろんこれだけでは、自動車としての操作は成立しない。運転を補助する操作をつかさどるデバイスが古くから存在していた。ウインカー(方向指示器)、ヘッドライト、ワイパー、サイドブレーキ(駐車ブレーキ)、バックミラー、サイドミラーなどがある。
さらに、自動車そのものの状態を運転者に示す計器類が運転操作を支援する。スピードメーター(速度計)、タコメーター(回転計)、水温計、ガソリン残量計、走行距離計などがある。
自動車を運転するという操作(運転操作タスク)に限れば、上記のHMIデバイスだけで済む。すなわち外界および自動車の状況を運転者が認識し、判断し、自動車を適切に操作する、という運転操作タスクのサイクルを回し続けられる。それでも自動車の運転は素人にとってやさしいとは言えない。多くの人々は自動車学校に通って運転操作に習熟してから自動車を運転する許可、すなわち運転免許を得る。
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