さて、Pluggableの課題として一般的に指摘されているのが下記の3点だ。
(1)スイッチICからフロントパネルまでの配線距離
(2)トランシーバーを搭載できる数と高速配線の数
(3)消費電力
一つずつ、順番に見ていこう。
分かりやすいのが配線距離の課題である。現在、19インチ(約48cm)の幅のラックが多く使用されている。そのラックに入るシャシにおいて、1RU(Rack Unit)という高さ1.75インチ(約45mm)の最小単位シャシで、32個あるいは36個のQSFP/QSFP-DDもしくはOSFPを搭載している(図1)。Pluggableのメリットは、先ほど述べた通り、装置を運用しながら交換できる活線挿抜(Hot Pluggable)による拡張性や保守性である。
光トランシーバーは幅40cm程度に広がってPCBの裏表の2段に実装される。このためICから光トランシーバーまでの配線は、長いもので20cm以上になる。一般的に使用されているPCBにおいて、56Gでは電気信号伝送距離が10cm程度といわれている。それ故、パネル両端にあるスイッチICから遠い光トランシーバーとICの間には、Re-timerという中継ICが必要だ。より高速になると、電気信号伝送距離が短くなるので問題が深刻化する。
これに対し、Samtecは高速広帯域の細線同軸ペア線を用いた配線技術でICとPluggableのコネクターを接続する技術を提案している。800G対応のQSFP-DD800では、高周波特性に課題のある、2階建ケージ(Double Stack Cage)の2階部分のケージ・コネクター接続にこの高速ツイン同軸ケーブルを採用した。このケーブルシステムは112G対応であるが、短距離やケーブルの改善で224G対応も可能で、PCB配線から高速ツイン同軸ケーブルに移行することで1.6T Pluggableも可能と考えられている。
同軸ケーブルはスパコン(スーパーコンピュータ)などでも用いられているが、問題は物量や重さである。102.4Tで200G電気信号を用いれば、1024本もの送受信のツイン同軸ケーブルが必要となる。さらに、曲げなどによる形状歪による伝送特性の劣化を防ぐため、硬い材質や高周波特使の良い誘電体を用いなければならず、FP Pluggableとしては、延命技術とはなっても本命技術になるとは考えにくい。
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