ASMLジャパン社長の藤原祥二郎氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について言及した。
藤原氏によれば、COVID-19の影響は大きく3つあるという。まずは、人の移動が制限されたことで、中国向け装置の出荷に一部遅れが発生した。サプライチェーンにも遅れがあり、それによってNXE:3400Cの出荷も若干遅れたという。出荷の遅れを懸念する顧客の要請により、通常は行う工場前出荷検査の一部を省略したケースもあった。
一方で、2020年第2四半期の業績については売上高33億ユーロで、前期比36%増という結果になった。2020年上半期では前年比で20%増加しており、「成長路線を進められている」(同氏)とする。
同年第3四半期の売上高は36億〜38億ユーロを見込んでおり、年間では2桁成長を達成できるとみている。藤原氏は「供給や出荷では短期的な変動見られたが、現状はほぼ解消している。足元の需要は、大きな変動がなく堅調に推移している。ただし、2021年以降の市況については、まだ慎重に見極めている段階だ」と述べた。
COVID-19の影響で、サポート面での課題が浮き彫りとなった。藤原氏は「人の移動制限が依然として続く中、熟練したエキスパートの現場派遣が難しくなった」と述べる。
そこでASMLは、リモートでサポートする技術を積極的に取り入れている。「装置を設置している現場とASMLのグローバルサポートセンターを接続し、リアルタイムで指示できるようサポートの幅を広げている。これまでも、装置のチェックや解析、診断を実施してきたが、今回はMicrosoftの『HoloLense』を活用し、専門性を必要とする作業も、ASMLのエキスパートの指示に基づいて行えるようにした」(藤原氏)。現在、75個以上のHoloLenseを世界の現場で活用しており、日本でも複数の顧客が同リモートサポートを使用しているという。
ASMLジャパンに続いて、スタンフォード大学医学部麻酔科・創薬医療機器開発研究所所長などを務める西村俊彦氏が登壇。創薬のプラットフォームについて説明した同氏は、医療分野における半導体技術について、「今後は、どれだけ正確な脳波や心電図、神経データを取得できるかが重要になってくる。そうした中、センサーを使うならば、やはり日本製を使用したい。身体に貼り付けられるフレキシブルなセンサーにも期待している。総じて、バイオテクノロジー業界では、ドライサイエンスに大きな注目が集まっている」と語った。
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