Marvellは2020年8月25日(米国時間)、データインフラ市場向けに5nmプロセスノードを適用した完全なシリコンポートフォリオを提供すべく、TSMCとの提携を拡張すると発表した。
Marvellは2020年8月25日(米国時間)、データインフラ市場向けに5nmプロセスノードを適用した完全なシリコンポートフォリオを提供すべく、TSMCとの提携を拡張すると発表した。
MarvellとTSMCは「世界最先端のプロセス技術を適用して、包括的なシリコンポートフォリオを提供する計画で、既に生産を開始している」と述べている。両社は、7nmから5nmへの微細化や、消費電力を削減しながらストレージの密度や帯域幅、速度、機械学習能力を高めるパッケージングイノベーションによって、More than Moore(モア・ザン・ムーア)時代を目指している。
MarvellのASIC部門でジェネラルマネジャーを務めるKevin O'Buckley氏は、米国EE Timesのインタビューで、「既定の設計ポイントと性能ポイントにおいて消費電力を平均で40%下げることができた。さらに、40%の高集積化を達成したが、これはダイ面積の微細化として評価されることが多い。これによって、ダイ面積当たりでより高い性能あるいはコストの削減を実現できる」と説明した。
インフラ向け半導体市場で最も急速に成長している分野の一つは、スイッチングおよびカスタムビルドのアクセラレータ製品である。その背景には、MicrosoftやGoogleのようなクラウドデータのハイパースケーラー企業が、CPUやGPUなどの汎用コンピュートデバイスで実行するワークロードをカスタムシリコンに移行しようとしていることがある。O'Buckley氏は、「これは、ハイパースケーラ―企業がソフトウェアからトランジスタに至るまでのスタック全体を所有しているからできることだ」と説明している。
Marvellは、5nmポートフォリオで複数の設計契約を既に結んでいる。現在、さまざまな市場に向けたソリューションの開発に取り組んでおり、2021年末までに最初の製品をサンプリング出荷する計画だ。
Marvellは1年以上前に、米国政府が中国のHuaweiをエンティティリストに載せたことでHuawei関連のビジネスを失ったにもかかわらず、5G(第5世代移動通信)に成長の可能性を見いだしている。同社は、5Gインフラストラクチャの顧客として、NokiaやEricsson、Samsung Electronicsを挙げている。
Huaweiの半導体設計部門であるHiSiliconは、世界最大の半導体ファウンドリーであるTSMCの売上高の約14%を占めていたが、TSMCは2020年初めにこの売り上げを失うことになった。そのため、TSMCは大口顧客を必要としている。HiSiliconは、TSMCの7nmプロセス技術を使用して「Kirin」プロセッサを製造していた。
現在、TSMCの最大の顧客は、AppleとAMD、MediaTek、Qualcommである。
Marvellは、5Gインフラストラクチャとエンタープライズネットワーキング、クラウドデータセンターの3分野を同社の中核事業と位置付けている。
O'Buckley氏は、「TSMCの5nmノードは、スイッチやルーター、セキュアゲートウェイ、ファイアウォール、ネットワーク監視ソリューションなど、さまざまな有線および無線ネットワーク機器の組み込みインフラ向けの新しいアプリケーションの創出に役立つ」と述べ、その一例として、Marvellのインフラストラクチャプロセッサ「Octeon」を挙げている。
Marvellによれば、機械学習性能を向上する上でも7nmから5nmへの移行は重要だという。MarvellはTSMCとともに、異なるダイを接続する効率的なインターコネクト技術によって、低消費電力化を実現するチップレットの設計に取り組んでいる。Marvellは、機械学習やデータセンターに向けたアクセラレーターにおいて、スケーラブルなシステムの構築を目指す。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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