ソニーは、非接触ICカード「FeliCa(フェリカ)」向けの次世代ICチップを開発した。新たに「FeliCaセキュアID」機能を搭載した。クラウドと連係したデータ管理を行うことで、第三者の不正利用を防止できるという。
ソニーは2020年9月、非接触ICカード「FeliCa(フェリカ)」向けの次世代ICチップを開発したと発表した。新たに「FeliCaセキュアID」機能を搭載した。クラウドと連係したデータ管理を行うことで、「なりすまし」など第三者の不正利用を防止できるという。
FeliCaは交通系ICカードや電子マネーなどに採用され、広く普及している。ソニーは、これまで累計14億個以上のカード向けICチップやモバイルFeliCa ICチップを供給してきた。
新製品は、現行FeliCa Standard ICチップの機能と互換性を保ちながら、IDベースのクラウドサービスに適したFeliCaセキュアID機能を新たに搭載した。エンティティー認証の国際標準である「ISO/IEC 9798-4」に準拠したアルゴリズムを実装しており、ID読み出し時に改ざん検知を行うことができる。こうした機能により、各種電子決済などのオンライン型サービスにおいて、サービス事業者は顧客情報の管理やサービス内容の変更などをクラウド上で安全に実行できるという。
ソニーは、FeliCaセキュアID機能を有効に活用できるよう、クラウド側でIDの認証や管理を行うためのプラットフォーム環境を整備していく考えだ。2020年4月より提供を始めたソフトウェア開発環境のFeliCaリーダーパソリ向けSDK for NFC Web Client「ICS-DCWC1」を用いると、経費精算などのウェブアプリケーションを開発することが可能である。
ICカードとリーダー/ライター端末間における相互認証と暗号通信は、現行と互換性のあるDES暗号方式/AES暗号方式に対応しつつ、外部からは内部構造や記録されたデータの解析、読み取りができないよう、耐タンパー技術を搭載した。なお、開発したICチップは、セキュリティに関する国際標準規格「ISO/IEC 15408」の評価保証レベル「EAL6+」を2020年6月に取得済みである。
この他、拡張オーバーラップ機能を新たに追加した。異なるサービス事業者間でそれぞれサービスを追加しても、データ連係が可能となる。また、標準的なFeliCa Standardの機能に加え、セキュリティ機能を簡易化してファイルシステムを最適化した「FeliCa Lite-S」機能も搭載した。さらに、一般的な通信データの暗号化および改ざん検知に加え、通信データの改ざん検知のみに対応する「セキュリティオプション」も追加した。
開発したFeliCa ICチップと、これを搭載したカード製品は2020年11月から量産開始の予定である。今後は、FeliCa ICチップをカード以外の形状に内蔵した製品や、対応するリーダー/ライター製品なども開発し、供給していく予定である。
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