住友電気工業は、ミリ波帯において伝送損失が低く、柔軟性にも優れたフッ素樹脂のフレキシブルプリント基板(FPC)「FLUOROCUIT(フロロキット)」を開発し、量産化に成功した。
住友電気工業は2020年9月、ミリ波帯において伝送損失が低く、柔軟性にも優れたフッ素樹脂のフレキシブルプリント基板(FPC)「FLUOROCUIT(フロロキット)」を開発し、量産化に成功したと発表した。5G(第5世代移動通信)システムなどミリ波帯を利用する用途に提案していく。
フッ素樹脂は、誘電率や誘電正接が低い。高周波基板などに採用が進む液晶ポリマー(LCP)に比べ、伝送損失をさらに小さくできる。例えば、40GHz帯での伝送損失は40%程度である。しかも、周波数が高くなればなるほど、その特性を生かすことができる。ただ、これまでは加工が難しく生産性に課題があったという。
住友電工グループはこれまで、フッ素樹脂の加工に長年取り組み、さまざまな製品を開発してきた。今回は、これまで得てきた知見や加工技術を生かし、加工が難しいとされていたフッ素樹脂FPCの量産を可能にした。柔軟性にも優れており、曲面実装が必要な配線などに適している。
新製品は、データセンターでの配線を始め、5G基地局や端末機器のアンテナや配線材、レーダー、センサーなどへの採用を提案していく。
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