東北大学は、ハードウェアの指紋と呼ばれるPUF(固有の乱数値を出力する機能)を用いた認証において、より安全な認証と実装コストの削減を可能にする新たな方式を開発した。
東北大学電気通信研究所の本間尚文教授と上野嶺助教らによる研究グループは2020年9月、ハードウェアの指紋と呼ばれるPUF(固有の乱数値を出力する機能)を用いた認証において、より安全な認証と実装コストの削減を可能にする新たな方式を開発したと発表した。
PUFは、ICチップの物理的なばらつきを用いて、チップ固有の出力を得る回路技術。複製が極めて難しく、ICチップの模造や偽造を防止するための技術として、既に実用化が始まっている。ただ、従来方式だと、質の悪い(偏りのある)ハードウェア指紋を質の良い(偏りのない)ハードウェア指紋に変換する時に、多くの情報を失うことがあったという。
研究グループは今回、PUFを用いた認証技術として、棄却サンプリングに基づく手法を用いた。棄却サンプリングとは、ある想定した分布に従う乱数値を生成する方法である。今回は「0」と「1」が、等確率で出現する乱数値を生成するために用いた。これによって、PUF出力の偏りを効率的に解消することができ、安全性の低下を防ぐことができたという。
研究グループによれば、実装コストを従来の手法に比べ最大で55%削減するなど、半分以下に抑えることができるという。このため、コスト面でハードウェア認証を搭載できなかったセンサーや小型のIoT(モノのインターネット)機器などへの適用も可能になるとみている。
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