NXPのPAモジュール、楽天5G基地局向けに採用 : 小型軽量で2.3GHz〜4.0GHz帯まで対応
NXP Semiconductors(以下、NXP)とNECは2020年10月13日、NXPが開発したパワーアンプモジュールの新製品が、NECと楽天モバイルが共同開発したMassive MIMO 5Gアンテナ無線子局(RU)に採用されたと発表した。
NXP Semiconductors(以下、NXP)とNECは2020年10月13日、NXPが開発したパワーアンプ(PA)モジュールの新製品が、NECと楽天モバイルが共同開発したMassive MIMO 5Gアンテナ無線子局(RU)に採用されたと発表した。
このRUは、O-RANフロントホールアーキテクチャ*) に準拠した5G無線機で、3.7GHz帯で動作するMassive MIMOアンテナを搭載しつつも、小型、軽量、低消費電力、そして高いコスト効率を実現したもの。
*)O-RANフロントホール仕様:「O-RAN Alliance」の仕様に基づく、基地局の親局と子局間をつなぐネットワーク仕様
NECと楽天モバイルが共同開発したMassive MIMO 5Gアンテナ無線子局について 出典:NEC
ここに採用されたのがNXPの「RF Airfastマルチチップモジュール」の1つである、PAモジュール「AFSC5G40E38」だ。AFSC5G40E38は日本の5Gで使われる3.7GHz帯に対応したもので、ドハティコンバイナと50Ωの入力/出力マッチング回路が統合された2ステージデバイス。高い集積度によって6×10mmという小型化をするとともに、表面実装の対応も実現している。
同社のRF Airfastマルチチップモジュールの第2世代にあたる製品で、高効率のLDMOSおよび統合マッチング技術を用いることによって、前世代からさらに性能を向上。第2世代のポートフォリオでは2.3G〜4.0GHzまでの周波数帯をカバーし、出力は38dBm(標準値)、利得は31dB(同)、効率は42%(同)となっている。
PAモジュールの前世代との比較 出典:NXP
NXPは、「基地局ベンダーにとっては、小型化ができるメリットのほか、モジュールとしてさまざまなコンポーネントを統合し認証まで行っていることから市場投入までの期間を短縮できること。そして、表面実装デバイスであることから、製造が容易というメリットがある」と説明。また、キャリアにとっても、小型であることから基地局の展開が容易になるほか、さまざまな周波数帯にピンコンパチで対応できるといったメリットがあることも紹介。「キャリアビジネスのコアになる付加価値に集中できる」としている。
なお、今回採用されたのはPAモジュールのみとなるが、NXPは、このPAモジュールとプリドライバーモジュール、レシーバーモジュールで構成する5G統合ソリューションを提供していることも紹介していた。
左=PAモジュールの特長/右=NXP Airfast 5G統合ソリューションについて。PAモジュールのほか、50Ωの入力/出力マッチング回路が統合された3ステージデバイスのプリドライバモジュール、2ステージLNAとRFスイッチ内蔵のレシーバーモジュールで構成している 出典:NXP
左=NXPのRF製品は、パワーと集積度から3つにグループ分けされている/右=低パワー向けにはSiGe(シリコンゲルマニウム)、高パワーで低周波数向けにはLDMOS、高パワーかつ高周波数向けにはGaN(窒化ガリウム)といった形で、「全ての周波数帯、パワーレベルに対応可能」なプロセステクノロジーを備えているとも強調していた 出典:NXP
NXPジャパン新社長に和島正幸氏が就任
NXP Semiconductorsの日本法人であるNXPジャパンは2020年10月5日、代表取締役社長に和島正幸氏を任命したと発表した。和島氏はNXP Semiconductors本社副社長を兼任する。
NXPが150mm GaN工場を新設、RFチップの製造能力拡大
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2020年9月、米国アリゾナ州チャンドラーに新設した150mm(6インチ)ウエハーのGaN工場の稼働を開始すると発表した。主に、5G(第5世代移動通信)無線システム向けの通信インフラ市場に注力しながら、将来的には6G(第6世代移動通信)への技術移行を目指していくという。
NXP、5G向け新フロントエンドソリューション発表
NXP Semiconductors(以下、NXP)は、5G(第5世代移動通信)で普及が見込まれるMassive MIMO(大規模MIMO)技術に対応するRFフロントエンドソリューションを発表した。
偏波MIMO対応ミリ波フェーズドアレイ無線機開発
東京工業大学とNECの研究グループは、5G(第5世代移動通信)システムの通信速度をさらに高速化できる「偏波MIMO対応のミリ波フェーズドアレイ無線機」を共同で開発した。同じ周波数帯域幅を用いた従来方式に比べ、通信速度を2倍にすることが可能となる。
MarvellとADI、5G無線ソリューションで提携
Marvell(マーベル)とAnalog Devices(アナログ・デバイセズ/ADI)は、第5世代移動通信(5G)基地局向け無線ソリューションに関して技術提携した。次世代の無線ユニット(RU)ソリューションについても共同開発する予定である。
自社開発のチップで大規模MIMOの普及加速へ
「MWC(Mobile World Congress) 2018」に出展したNokia(ノキア)は、46件にも上るデモを巨大なブースで披露した。中でも来場者からの注目度が高かったのが、モバイルネットワーク向けとしてはノキアが初めて自社設計したチップセットや、5G(第5世代移動通信)で重要視されているネットワークスライシングなどのデモだ。
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