2020年は日本の「5G元年」に当たる。3月から始まった5Gサービスに伴い、多くの5Gスマートフォンが発売されている。安価なもの、フラグシップ機などのモデルが市場に投入され、5G通信が次の成長のキーとして扱われている。
弊社は既に数十種の5Gスマートフォンを分解観察しているが、その中の代表的な6機種を表2に掲載した。いずれもサブ6GHz帯をサポートしていて(ミリ波対応は、表2では1機種のみ)、カメラが“松竹梅”の差となっている。
「Google Pixel 5」(2020年10月15日発売)やiPhone 12(10月23日発売)はデュアルカメラで、それ以外の4機種はToFセンサーを搭載していて距離を測定できる。5G対応が、ハイエンド/フラグシップという位置付けの要素になっているわけではなく、カメラやToFセンサーなどの新技術を取り込むことで、ハイエンド、フラグシップとしての差を生み出しているわけだ。
図5は、2007年に発売された初代iPhone 2Gと最新のiPhone 12 Proの外観と内部基板、iPhoneで活用されたプロセッサシリコンの様子である。この間、ほぼ毎年のようにAppleはプロセッサや通信、センサーを進化させ続けている。当初は外部から購入していたプロセッサは、「A4」から自社製となった。iPhone 12で用いられているA14は、Apple製プロセッサの10チップ目となる。AI(人工知能)機能やGPU機能の強化、カメラ処理など他分野(自動運転やロボティクス)にも十分適応できるほどの進化が続いている。
筆者にとって、前職の半導体メーカー時代においても、また多くのシステムやチップを評価、解析する現職の時代においても、最もエキサイティングな半導体進化を続けている1社がAppleである(他にもすごいメーカーはある!)。
iPhoneは図5の表題通り、半導体進化のバロメーター、生き字引となっているのだ。Appleには心からの敬意を示しつつ、今後も観察や解析を通じで、同社の「すごさ」を読者の皆さんにお伝えしていければと思う。そしてもちろん分解だけではなく、Apple製品のユーザーとしても(10機種以上使っています)、今後もAppleのすごさを味わっていきたいと思っている!
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