では、現時点での、私(江端)のビットコインに関する所感 ―― ”不快感”を記載しておきます(来月には違うことを言っているかもしれません)。
まずは、アルゴリズムに支配されている人間としての”不快感”です。
次は、ビットコインのメカニズムに嫉妬しているエンジニアとしての"不快感"です。
では、ビットコインに対する、当面の私(江端)のスタンスも追記しておきます。読者の皆さんが、ビットコインを取り扱う時の、検討の対象になれば幸いです。
結論から言うと、私は、この「ビットコイン騒動」には参入しません ―― こんなもの、怖くて手を出せませんし、そもそも、私の愛するコンピュータの計算リソースと、限りある地球のエネルギーをこんな「ゲーム」に使われることが、心底不快に感じています。
まあ、取りあえず、ビットコインは2100万BTCで打ち止め(発行終了)になります。大体半減期が4年といわれていますので、十数年後には、マイニングを行われなくなり、ビットコインはレートの安定した決済手段になる(世界恐慌が発生した場合は別)はずです。
少なくとも私は、「投資」(というか「投機」?)目的でビットコインを購入するつもりはありません。
最後にリアルなお話を一つ。
私が地元のボランティア活動に参加していた(させられていた)時の話(「デジタル時代の敬老精神 〜シニア活用の心構えとは」)です。
私の所属していたチーム(班)の活動を、長年にわたり支えていた方が、ある日、こつ然と姿を消しました。私は、その理由を知りませんが ―― ただ一つ、風のたよりで「ビットコイン」という言葉が入っていたことを覚えています。
今回、私は、上記の「1ビットコイン(BTC)のレート(円)変動」のグラフを作っていた時、その話を思い出しました。そして、その事件が発生した時期を重ね合わせてみたら、「説明ができてしまう」ことに気が付きました。
もちろん、誰が何をしようとも ―― 例えば、何かに投資や投機をしようとも ―― その人の自由であり、私がとやかく言うことではありません。
問題は、十何年もの間、その方の中で蓄積され続けて、第三者に全く共有されていない、膨大な量の作業が、「この私」に落ちてきた、ということです。
私は、大型連休の全日を費やして、それらの作業の内容を一つ一つ調べ上げた上で、全てを再立ち上げしなければならなくなりました。
その「こつ然と姿を消してしまった」方は、十何年もの間、無償で活動を支援し、新参者だった私にも親切に指導してくださいました。私は、今でも感謝の気持ちしかありません ―― むしろ、私の怒りは、この事件の原因の方に向かいました。
「逆恨み」であることは十分に分かってはいますが ―― あの瞬間、ビットコインは、私(たち)の「仇敵」となったのです。
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