東京大学や広島大学らの共同研究グループは、ポリマー半導体の立体障害と分子ドーピングの関係性を明らかにした。その上で、ポリマー半導体の「隙間」を適切に制御し、分子ドーピング量を100倍向上させることに成功した。
東京大学や広島大学らの共同研究グループは2020年11月、ポリマー半導体の立体障害と分子ドーピングの関係性を明らかにした。その上で、ポリマー半導体の「隙間」を適切に制御し、分子ドーピング量を100倍向上させることに成功したと発表した。
研究グループはこれまで、結晶性ポリマー半導体に注目し、不純物ドーピングの研究を行ってきた。既に、結晶性ポリマー半導体1ユニットあたり、1ドーパント分子を高密度に複合化する技術などを開発している。ただ、密度の高い分子複合状態において、不純物ドーピング効果を最大化するための設計指針までは明らかにされていなかったという。
そこで今回、結晶性ポリマー半導体におけるナノメートルサイズの「隙間」に着目し、立体障害と分子ドーピングの関係性を系統的に調べた。電気を流す骨格に周期的に付与された側鎖の密度を精密に制御して、その隙間を拡張した。その結果、ドーパント分子を格納するスペースが確保され、分子ドーピング量を100倍向上させることに成功した。また、従来に比べ体積が3倍の大きいドーパント分子を複合化することも可能となり、ほぼ最密充填(じゅうてん)された分子複合体を作製することにも成功した。
今回の研究で、結晶性ポリマー半導体の隙間とドーパント分子の大きさについて、その関係性が明らかとなり、さまざまな分子複合体材料を設計するための指針が明確となった。さらに、最密充填された分子複合体は、金属のように電気が流れやすくなって、熱や環境に対する耐性も向上することが分かった。
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