CPO Collaborationのガイダンスで何となくわかったような気がするが明確な製品イメージは得られなかったと思う。CPOの規格化は始まったばかりで、これから明確になっていくので注視していきたい。
しかし、CPOには技術的な挑戦課題も多く、規格制定に時間がかかる可能性もある。また、一つのハイパースケールデータセンターには100万個の光トランシーバーの需要があり、装置内に組み込む場合独自規格でもビジネスが形成できること、バックワードコンパティビリティを考慮しなくてよいこと、CPOの技術が初期開発段階でありさまざまな新技術展開が予測されることから、規格が乱立したりカスタム仕様が運用されたりする可能性もある。
表2に仕様項目を示す。今後決定していかなければいけない項目の中には、新しい技術開発が必要なものもある。実際、電気ソケットやCPO光コネクターが、従来の延長で良いのかどうかも疑問だ。技術の展開をにらみながらの規格化が行われていくものと思われる。
また、最も重要な項目である1や2は、技術とシステム要求のせめぎ合いで変わる可能性がある。光トランシーバーから見た時のCPOで考慮しなければいけないシステム的な課題を見てみよう。
(1)配線能力指標(I/O efficiency)
最近話題のSiP(System in Package)と比較してみる。スイッチ装置の機能や部品を、10cm角程度の基板1枚に集積するのだから、大型のSiPと言ってよいだろう。しかしながら光インタフェース特有の課題がある。
最近のIEEEのHeterogeneous Integration Roadmap(HIR)によれば、光配線はSiPなどで用いられている配線能力指標が数桁低いと指摘されている(図5)。性能、指標、FOM(Figure of Merit)である「接続容量密度*消費電力効率(Gbit/mm)/(pJ/bit)」は現在の技術でパッケージ内電気配線では100以上なのに、光は1程度だ。光は2km伝送でもほぼ1だが、独立した個別部品として強みを発揮しているのである。しかし、FOM=100のICなどと同一基板に搭載するには、少なくとも、違和感のないレベルにまで改善することが必要だろう。
CPO Collaborationの仕様において、100mm四方全体で51.2Tbit/sの光インタフェース、400Gbit/s換算で8W(20pJ/bit)とすればFOMは6.4である。図6に100G、400Gとともにプロットしてみると、大幅な性能向上にはなっていないことが分かる。1.6T換算で8W(5pJ/bit)であればFOM=25.6と期待の数字が実現できる。挑戦的な数字ではあるが、これを目指して技術開発すべきではないだろうか。
(2)光インタフェースの柔軟性と保守性(Flexibility and Serviceability)
IP装置ではさまざまな仕様に対応した光インタフェースを柔軟に組み込むことが求められる。現時点では、複数の光インタフェースを一つのモジュールに収容することはコスト的にもサイズ的にも困難だ。このため、要求に応じてそれぞれの光インタフェースを有する光トランシーバーを差し替えることでさまざまなシステムを実現してきた。
繰り返しになるが低価格の電気ケーブル、低価格短距離のAOC(Activr Optical Cable)、数百メートルのMMF(Multi-mode Fiber)短距離、2/10kmのSMF(Sible-mode Fiber)振幅変調直接検波(IMDD)接続、80kmのIMDDやコヒーレント接続もFP Pluggableに収容可能である。この柔軟性もCPOで要求されるのだろうか。
また、光発光デバイスはIII-V族化合物半導体であるため、故障モードや故障率がSi単結晶のICとは異なる。これにより、保守の考え方もICなどと異なる。実際Front Panel Pluggable光トランシーバーは、故障部品を抜き正常品を挿入することで動作を止めることなく交換可能となっている。この容易な保守性もシステムからの要求事項であろう。
良好な柔軟性と保守性がFP Pluggableが主流である理由だが、CPOに移行する際にはどういう要求になっているのか、指針が光トランシーバーの規格に大きく影響する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.