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» 2020年11月16日 11時30分 公開

光トランシーバーのForm Factorの新動向(3) 〜FacebookやMicrosoftが主導するCPO光伝送技術を知る(14) 光トランシーバー徹底解説(8)(4/4 ページ)

[高井厚志,EE Times Japan]
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(3)組み立て場所

 サプライチェーンにも絡むが、IC実装メーカー、装置メーカー、データセンターの現場のどこでCPO搭載を行うのか、故障したCPOの交換をどこで行うかが、CPOの仕様にも大きく影響される。

 OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)がリフローで組み立てたスイッチモジュールを装置ベンダーに納入するのか、装置ベンダーがシステムごとに最適化された構成でソケットを用いて組み立てるのか、データセンターでアセンブリ専用室を作り別々に購入したスイッチだけのモジュールにCPOを組み立てるのか。また、故障した時の修理はどうするのか。表2の項目2にあるCPOの根本的な構造に影響する。

 特に、光の通り道であるコアの直径は約10umであり、ファイバーは誘電体であることから、コネクターなどの接続部では埃を吸着しやすく、マイクロメートル単位の埃対策が必要である。リフロー後のPCBは埃の山であり問題である。CPOの搭載・交換の作業環境も、CPOのファイバーや光コネクターに関する仕様に影響する。

(4)ファイバー装置内配線(In-box fiber wiring)

 装置のパネルに標準光コネクターに対応したアダプターを設置し、CPOを搭載したスイッチモジュールからパッチファイバーケーブルで配線接続する(図7)。この装置内配線は厄介である。筆者らが1990年代に開発した12チャネルシングルモード光インタコネクトモジュールでは、このファイバー配線の経路設計がエンドユーザーの頭を悩ませ、筆者らもいろいろな工夫を行った。PCBに2〜3台しか搭載されない300-pin MSAでもエンドユーザーはさまざまな工夫をこらした。結局、同じ長さのファイバーを用い、プラスチック製のサポート部品を使って配線することで解決したのだが、一律の長さのファイバーケーブルを使用して経路設計するにはノウハウが必要であり、工場でも人手による配線となった。また、センチメートルオーダーの曲げ半径を確保することも配線の制限となることが分かった。

 ファイバーの経路設計と組み立て、そして故障時の交換が最大のネックである。さらに、PCB上の難燃性を担保する柔軟なピッグテールあるいはジャンパケーブルの開発も課題である。

 ファイバールーティングを容易にし、交換に対応できるようCPOも規格化されなければならない。

図7 4種類のファイバー長のモジュールを使った装置内配線例 出典:Source: Senko(クリックで拡大)

(5)光源の場所

 レーザーの信頼度は低いとされ、特に集積化に伴う高温環境下では指数関数的に劣化する。また、光損失の大きいSi-photonics(シリコンフォトニクス)に適応すべく大出力(大電流駆動)に設定すれば故障率が高くなる。

 現状、シリコンフォトニクスの光源として使用されているCWレーザーの故障率は10 FIT程度だとされているが、この数字でシステム運用ができるのか、Intelが発表しているようにレーザーを2個用意して冗長を持たせることで運用に支障が無いようにしなければいけないのか、装置やエンドユーザーの判断が重要である。また、安心して使用できるとされる1 FIT CWレーザーも、低故障率に特化して開発できる可能性はある。

 一方、外部にレーザー光源を設置することも検討されている。この方式では、CPOはDC光を外部光源からファイバー入力しなければいけない。この時、光源のチャネル数とCPO入力パワーが仕様化されるとそれが光トランシーバーの使用技術の制限となる。Si-photonicsの損失を考慮し、その本数と光出力パワーが適切でなければいけない。

 接続に使用されるファイバーは、PMF(Polarization Maintenance Fiber)という特殊ファイバーである。一つのPMFの光がいくつの変調器をサポートするかで本数が決まる。51.2Tで100G 512個の変調器を用いれば、1本のPMFで2個の変調器とすれば256本、4個の変調器とすれば64本のPMFとなる。

 このように、今後の検討課題は山積みだが、規格化も急がねばならない。Front Panel Pluggableの限界が来ているからであり、クロスオーバーが1.6Tとすれば、遅くとも2025年には製品の量産が開始されていなければならないからである。

(次回に続く)


筆者プロフィール

高井 厚志(たかい あつし)

 30年以上にわたり、さまざまな光伝送デバイス・モジュールの研究開発などに携わる。光通信分野において、研究、設計、開発、製造、マーケティング、事業戦略に従事した他、事業部長やCTO(最高技術責任者)にも就任。多くの経験とスキルを積み重ねてきた。

 日立製作所から米Opnext(オプネクスト)に異動。さらに、Opnextと米Oclaro(オクラロ)の買収合併により、Oclaroに移る。Opnext/Oclaro時代はシリコンバレーに駐在し、エキサイティングな毎日を楽しんだ。

 さらに、その時々の日米欧中の先端企業と協働および共創で、新製品の開発や新市場の開拓を行ってきた。関連分野のさまざまな学会や標準化にも幅広く貢献。現在はコンサルタントとして活動中である。


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