ジャパンディスプレイ(JDI)は「ファインテック ジャパン2020」(2020年12月2〜4日、幕張メッセ)で、非接触でも高精度に指を検知するホバーセンサー技術を活用したタッチパネルなどを展示した。
ジャパンディスプレイ(JDI)は「ファインテック ジャパン2020」(2020年12月2〜4日、幕張メッセ)で、非接触でも高精度に指を検知するホバーセンサー技術を活用したタッチパネルなどを展示した。
ホバーセンサーは静電容量方式で、指先を近づけた時の静電容量の変化で、指先を検知する。センサー表面から最大5cm離れた位置でも指先を検出できる。会場では、このホバーセンサーと透明LCD(液晶ディスプレイ)を組み合わせ、非接触で操作できるディスプレイをデモ展示した。JDIによれば、同ディスプレイはレスポンスの良さが特長だという。「コントロールICを改良することでレスポンスを高速化した」(JDI)
デモ展示したのは約12型のディスプレイだが、今後は7〜15型のラインアップ拡充を計画している。ホバーセンサーを搭載した12型ディスプレイについては、2021年2〜3月に評価用サンプルの出荷を開始し、2021年内の量産を目指す。
JDIは「ホバーセンサーのみのパネルを用意することで、幅広いアプリケーションに使用できるようになる」と説明する。「特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で非接触のソリューションが求められている今、ニーズはあるのではないか」(同社)
低温ポリシリコン薄膜トランジスタと有機光センサーを集積したイメージセンサーも展示した。東京大学大学院 工学系研究科 染谷研究室と共同開発したもので、染谷研究室がセンサーを、JDIがバックプレーンを担当した。「電子回路を高精細で作成できるのがJDIの強み。当社のバックプレーンと組み合わせることで、センサーをより高精度にできる」とJDIは説明する。このイメージセンサーは、1個で指紋、静脈、脈波を同時に計測できることが特長だ。フレキシブル基板への集積も可能なので、曲げて使うこともできる。
会場では、開発したイメージセンサーを2個搭載した計測モジュールを展示し、指紋、静脈、脈波のデータを同時に取得する様子を示した。この3種類のデータを取得できれば生体認証の安全性が向上するので、高い安全性を備えたシステムを実現できるとJDIは説明する。
30.2型の8K4K(7680×4320画素)LCDも展示した。現在サンプル出荷中で、まずは医療用途をターゲットとする。精細度は292ppi(pixels per inch)で、画面輝度は1000cd/m3と明るい。「30.2型のサイズで8Kディスプレイを製造するのは技術的に難しいが、当社はそれを実現した。医療用途では、高い精細度はもちろんのこと、明るさも必要とされる。JDIとしては、まずは医療向けをターゲットとし、その後、放送用途を狙う」(JDI)
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