富士通エレクトロニクスは、「第6回 IoT&5Gソリューション展 秋」(2020年10月28〜30日、幕張メッセ)において、ドイツ3D Globalが開発した裸眼3Dディスプレイのデモなどを展示した。
富士通エレクトロニクスは、「第6回 IoT&5Gソリューション展 秋」(2020年10月28〜30日、幕張メッセ)において、ドイツ3D Globalが開発した裸眼3Dディスプレイのデモなどを展示した。
3D Globalは、裸眼での3D映像を実現する「オートステレオスコピック3D」技術を展開するドイツ企業で、富士通エレクトロニクスグループが販売、サプライチェーン、技術サポートをグローバルに展開している。
特殊なメガネやVR(仮想現実)ゴーグルをつけることなく3D画像を鑑賞可能とする既存技術としては、液晶パネル上に長ぼそい「かまぼこ状」のレンズを無数に並べることで見る角度によって立体感を与える「レンチキュラーレンズ」と、パネル上にバリア(遮光板)を配置することで左右の目に違う角度から見せ奥行き感を与える「パララックスバリア」の主に2つがある。
3D Globalの「オートステレオスコピック3D」技術は、独自のバリアとレンチキュラーレンズを組み合わせた構造を取ることで、明るさの低減もなく、より自然な3D画像の表現を実現。また、多視点設定によって複数人が左右60度、別々の位置で鑑賞しても3D効果を実現できるという。
なお、同社ではカスタム3Dフィルムの開発、製造(4〜100インチ)を手掛け、熱対策用ガラスやパネルを張に張り付けた形の提供のほか、専用の製造装置を顧客の工場に設置しての3Dフィルムの貼り付けなどを行うという。会場でも、市販のディスプレイに同社の3Dフィルムを張り付けたデモ機を展示しており、来場者の目を引き付けていた。
今回、会場では、この3Dフィルム技術にToF(Time of Flight)カメラとIR(赤外線)ライトを組み合わせることで、ユーザーの目の位置を検知して最適な設定で3D画像を表示可能とした「視線検知ディスプレイ」のデモも展示していた。
デモ機の上部にToFカメラおよびIRライトを搭載しており、これによって検知した人の目の位置に合わせた形で画像を表示することで、既存品のようなちらつきのない、鮮明な3D画像を実現している。
なお、検知した目の位置に合わせた画像のみを表示するという仕様上、鑑賞可能なのは1人に限られており、ほかの角度からディスプレイをのぞき込んでも画像を見ることはできない。説明担当者は「まだアイデアとして紹介している段階で課題はあるが、将来的には車載ディスプレイ用途なども考えられるだろう」と語っていた。
ブースでは、このほかHUAWEIのAI(人工知能)エッジステーション「Atlas 500」を用いた、アームロボットによる電子部品のピッキングデモも展示されていた。
Atlas 500は、220x45x235mm(ディスク無しの場合)と小型で低消費電力(25W※ディスク無しの場合)ながら、22TOPS(INT8)という高い演算能力、クラウドとの連携によるリアルタイムのモデル更新、デバイス管理およびファームウェアアップデートの統一を実現したエッジAIステーションだ。また、上部をヒートシンク型にすることでファンレスを実現、さらに−40〜+70℃での屋外動作も可能にしている。
展示していたデモは、AI企業クロスコンパスのAIを活用。「現実にはあり得ないような」ものを含むさまざまな厳しい環境をシミュレーション上に構築して学習させたAIを用いることで、安価なカメラでも、DIP部品のような小さな製品を正確にピッキングできるようにしているという。
同ブースでは、富士通セミコンダクターのUHF帯RFID用LSIを搭載した、「バッテリーレス ワイヤレス電子ペーパータグ」も展示されていた。
富士通セミコンダクターは、2018年10月に台湾のE Inkとこの電子ペーパータグ技術を共同開発したと発表している。今回展示していたのは、エスケーエレクトロニクスおよび長野日本無線がそれぞれ製品化したものだ。
最大1兆回のメモリ書き換え回数や高速書き込み、低消費電力を特長とするFRAMの特長を生かしたLSIおよび表示保持に電力が不要な電子ペーパーを用いることで、RFIDのリーダーライターを用いたUHF帯による無線給電によって内部データの書き換えを可能としている。通信距離は専用リーダーライターを用いた場合50cm程度だという。
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