また、CXL 2.0規格の全体的なアップデートの一環として、永続性メモリに対する標準インタフェースの提供方法について注力するためのワーキンググループ(WG)が設立された。Carr氏は、「管理用の標準API(Application Programming Interface)を定義することにより、誰もが標準化された方法で永続性メモリをCXL接続ポートに追加できるようになる。CXLを使えば、NVMeと同様に、誰でも独自のメモリ技術を市場に投入して、既存のソフトウェアエコシステムを利用することが可能だ。また、スイッチング機能と組み合わせることにより、メモリの使い方に関する柔軟性を大幅に高められる」と述べている。
CXLのプロトコルは、「CXL.io」と「CXL.cache」「CXL.memory」の3つに分類することができる。単独で使用できるだけでなく、特定のユースケース向けに組み合わせることも可能だ。これら3つを全て同時に使用する例としては、メモリのアクセラレーターで高性能計算をサポートすることなどが挙げられる。また、メモリバッファの場合は、CXL.ioとCXL.memoryを組み合わせて、メモリ容量拡大やストレージクラスメモリ(SCM)をサポートできる。
CXLが急速に進展し、普及が進んだ背景には、標準規格開発において幅広い業界からのサポートと参加があったという点がある。このため、メモリメーカーとコンポーネントメーカーは従来の枠を超えて、GoogleやIBM、Facebook、Intelなどの大企業を理事会に迎えることができるようになった。中でもIntelは通常、メモリなどの半導体分野において、市場のけん引役とされている。
CXLコンソーシアムのメンバー企業であるMicrochip Technologyは、一番乗りでCXL 2.0対応製品を開発し、最新の低レイテンシPCI Express 5.0(PCIe Gen5)およびCXL 2.0リタイマー「XpressConnect」を発表した。同社のデータソリューション向けプロダクトマーケティング/戦略部門担当マネジャーを務めるAhmad Danesh氏は、「このリタイマーは、全体的なCXL規格と同様に、データセンターワークロードのHPC(High-Performance Computing)需要にも対応可能だ。AI(主に機械学習)などのさまざまな計算ワークロードだけでなく、自動車のADAS(先進運転支援システム)にも必要とされる、超低レイテンシの信号伝送をサポートしているからだ」と述べている。
PCIeリタイマーは通常、ICとしてプリント配線板(PCB)に実装され、PCIeバスを延長することができる。また、インターコネクトやPCB、ケーブル変更などによって断絶が生じた場合に対応することが可能だ。このような断絶が生じると、まるで新しいPCIeデバイスであるかのように、再生信号が両方向に出力されるため、PCIe信号が劣化することになる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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