NTTドコモとAGCは、メタサーフェス技術を用いミリ波帯(28GHz帯)の電波を屋外から屋内に効率よく誘導する「メタサーフェスレンズ」のプロトタイプを開発、受信電力を向上させる実証実験にも成功した。
NTTドコモとAGCは2021年1月、メタサーフェス技術を用いミリ波帯(28GHz帯)の電波を屋外から屋内に効率よく誘導する「メタサーフェスレンズ」のプロトタイプを開発、受信電力を向上させる実証実験にも成功したと発表した。
5G evolutionや6G(第6世代移動通信)で利用されるミリ波帯の電波は、直進性が高く減衰しやすい、という特長がある。このため、屋外の基地局アンテナから送信されたミリ波帯の電波を、窓ガラス越しに建物内の特定場所で受信するには、新たな対策が必要になることもあった。
今回開発した28GHz帯向けメタサーフェスレンズは、メタサーフェス基板上に複数形状の小さな素子を適切に配置した。メタサーフェスレンズはフィルム状で、室内から窓ガラスに貼り付けるだけで、外部からの電波を簡単に引き込むことができる。窓ガラスを通過する微弱なミリ波を、屋内の特定場所に集め、焦点位置にリピーターやリフレクターなどを設ければ、室内の受信電力を向上させることが可能になる。
AGCのガラス電波透過構造設計技術を用い、遮熱機能を備えたガラスとメタサーフェスレンズを組み合わせることで、本来は電波を通さない遮熱ガラスであっても、屋内でミリ波の受信電力が改善できることを実証した。メタサーフェスレンズとしては、ミリ波を1つの焦点に集める「静的」タイプと、焦点位置を制御できる「動的」タイプを用意している。
プロトタイプのメタサーフェスレンズを用い、ドコモR&Dセンタ(神奈川県横須賀市)で、2020年12月中旬に実証実験を行った。この結果、静的メタサーフェスレンズでは、通常の透過ガラスに比べ、受信電力が24dB以上も向上することを確認した。遮熱機能を持ったガラスとの組み合わせでも、約24dBとほぼ同じ結果となった。
今回の検証に用いた動的メタサーフェスレンズは、構造が異なる4種類の素子適切に配置した。全素子に同一の制御信号を与えても、焦点位置を切り替えられる(今回は単焦点と2焦点)ことを実証した。単焦点モードだと「焦点2」で受信電力が向上(11dB)。2焦点モードでは「焦点2」と「焦点3」の両方で受信電力が向上(それぞれ6dB)することを確認した。
今回の実証実験で用いたメタサーフェスレンズは、2021年2月4〜7日にオンラインで開催するイベント「docomo Open HouseTM 2021」で紹介する。
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