Xilinxの日本法人であるザイリンクスは2021年1月28日、オンライン記者説明会を開催し、2020年8月にカントリーマネジャーに就任した林田裕氏が同社の注力市場や戦略を説明した。
Xilinxの日本法人であるザイリンクスは2021年1月28日、オンライン記者説明会を開催し、2020年8月にカントリーマネジャーに就任した林田裕氏が同社の注力市場や戦略を説明した。
林田氏は「変化が加速している時代になっている中、より適応性の高い柔軟なシステムが要求されている。技術革新も、シリコンの設計サイクルをしのぐ速度で進んでおり、この傾向が今後もさらに加速することが予想されている。こうした要求に応えるためには、演算性能だけでなく、ソフトウェアとハードウェアの要件の変化についていける適応型の演算プラットフォームが必要になる」と語る。
Xilinxは、プログラマブルデバイスの代表格であるFPGAに始まり、SoC(System on Chip)型の製品、同社が「MPSoC」と呼ぶArmプロセッサを搭載した製品、RF機能を搭載した「RFSoC」などの適応型チップを市場に投入してきた。2018年には、Xilinxが「全く新しいカテゴリーの製品」と位置付けた、7nmプロセスを適用した適応型プラットフォーム「ACAP(エーキャップ):Adaptive Compute Acceleration Platform」を発表した。「ACAPには、より多くのソフトウェアプログラムを実現できるアーキテクチャが実装されている。これにより、ハードウェアだけでなくソフトウェアアプリケーションの開発者に対しても、適応性のある演算能力を提供できるようになった」(林田氏)
近年、Xilinxが注力しているのが、AI(人工知能)、とりわけ機械学習の推論である。林田氏は「これまではAIモデルの開発やAIアプリケーションにフォーカスされてきたことから、主に学習関連がメインだったが、今後はエッジとクラウドの両方において推論が強化されていくと考えられる」と述べる。
特に、AIモデルやアルゴリズムは日進月歩の世界だ。こうした領域こそ、Xilinxの適応型ソリューションが強みを発揮すると林田氏は語る。「エッジからクラウドまで、推論を高い電力効率で実行できる他、推論の機能とその他の機能を単一のデバイスに実装することで、一部の演算だけでなくアプリケーション全体を高速化できる」(同氏)
林田氏は、アプリケーション全体を高速化する例を紹介した。CPUのみを使った推論処理では、わずか6fps(フレーム/秒)しか性能を出せなかったものが、推論用の前処理と推論の実行にXilinx製品を追加することで、60fpsまで高速化できるとする。
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