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» 2021年03月18日 11時30分 公開

台湾で深刻な水不足、TSMCとUMCの対策は半導体製造への影響も懸念

台湾の半導体メーカーは今や、世界の半導体製造能力の約4分の1を担うまでになったが、現在、台湾国内の水不足のために半導体生産が脅かされ、急増する半導体需要への対応に悪戦苦戦している。

[Alan Patterson,EE Times]

 台湾の半導体メーカーは今や、世界の半導体製造能力の約4分の1を担うまでになったが、現在、台湾国内の水不足のために半導体生産が脅かされ、急増する半導体需要への対応に悪戦苦戦している。

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 台湾の蔡英文総統は、節水と水不足対策の推進を呼びかけている。総統はFacebookの投稿の中で、「台湾の今回の水不足は、過去56年間で最も深刻だ」と述べている。

 今回の水不足は、自動車メーカーやスマートフォンメーカーなど、世界中のさまざまなメーカーから、「十分な量の半導体を台湾から入手することができない」という声が上がり始めたのとほぼ同時期に発生した。これらの顧客企業たちは、製造ラインの閉鎖に追い込まれたり、数十億米ドル規模の損失を被るなどしている。

 TSMCや台湾国内の競合メーカー各社は、「過去数十年間にわたってしばしば実施してきた所定の手順に着手することにより、水供給を強化していきたい」と述べている。

 TSMCは、米国EE Times宛の声明の中で、「TSMCは、取水制限のステージごとに対応策を用意している。現在、予行演習として、当社の一部の施設向けに少量の水を発注し、トラックで配送しているところだ。今のところ、まだ生産への影響はない」と述べている。

 TSMCより規模は小さいがライバル企業であるUMCも、同様の反応を示している。

 同社はEE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「UMCは、トラックによる工業用水の配送を開始した。現在のところ、それほど大量の水を追加する必要はなさそうだ」と述べる。

 台湾ではこれまでにも、幾度となく水不足や地震、中国による侵略の脅威などによって、半導体製造に影響が及んでいる。1999年9月に、台湾で過去最大規模となるマグニチュード7.6の地震が発生した時には、かなり広範な地域で約1週間にわたり停電が続いたため、世界半導体供給量全体の約10%の製造が一時停止する事態となった。この時、台湾国営の電力供給会社は、半導体メーカー向けの電力供給をわずか1日で復旧している。

 台湾のメモリチップメーカーPowerchip Semiconductorでチェアマンを務めるFrank Huang氏は、「台湾は、このような困難を抱えながらも、世界的な半導体チップ供給国として必要不可欠な存在となった」と主張する。

 20年以上前の地震発生以来、半導体チップ供給における世界各国の台湾への依存度は、ますます高くなっている。TSMCは現在、AppleからXilinxに至るまで幅広い企業に向けて、世界最先端の5nmプロセス製造技術を適用した半導体デバイスを製造している。

 TSMCとUMCはいずれも、長年にわたり、水の再生利用において規制水準を超える成果を達成しているという。TSMCがWebサイト上で発表した声明によれば、同社の製造プロセスにおける平均リサイクル率は、2019年時点で86.7%に達し、これまでに再生利用した合計水量は1億3360万トンで、年間節水目標値を187%も超える成果を上げている。

 TSMCとUMCはどちらも、台湾南部の「Tainan Science Park」に製造拠点が集中しているが、台南エリアは2020年の夏にとりわけ雨量が少なかった場所だ。Tainan Science Parkには、TSMCとUMCだけでなく、他の半導体メーカーやLCD(液晶ディスプレイ)メーカーも製造を行っていて、膨大な量の水を使用する。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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