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» 2021年03月23日 10時30分 公開

3D NANDフラッシュの高層化と記憶密度の推移福田昭のストレージ通信(186) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(13)(1/2 ページ)

今回は、3D NANDフラッシュ技術の高密度化をけん引してきた高層化と多値化の推移について解説する。

[福田昭,EE Times Japan]

高層化と多値化が記憶密度の向上をけん引

 フラッシュメモリとその応用に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」が2020年11月10日〜12日に開催された。FMSは2019年まで、毎年8月上旬あるいは8月中旬に米国カリフォルニア州サンタクララで実施されてきた。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的な大流行(パンデミック)による影響で、2020年のFMS(FMS 2020)は開催時期が3カ月ほど延期されるとともに、バーチャルイベントとして開催された。

 FMSは数多くの講演と、展示会で構成される。その中で、フラッシュメモリを含めた不揮発性メモリとストレージの動向に関するセッション「C-9: Flash Technology Advances Lead to New Storage Capabilities」が興味深かった。このセッションは4件の講演があり、その中でアナリストによる3件の講演が特に参考になったので、講演の概要をご紹介する。

 なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。

 本シリーズの第10回から、技術調査会社TechInsightsでシニア技術フェローを務めるJeodong Choe氏が「Technology Trend:NAND & Emerging Memory(NANDフラッシュメモリと次世代メモリの技術動向)」と題して講演した内容を説明している。第10回は3D NANDフラッシュメモリ(以降は「3D NANDフラッシュ」と略記)各社の開発ロードマップを、第11回(前々回)は代表的なスマートフォンが搭載してきたNANDフラッシュメモリの変遷を、第12回(前回)は、3D NANDフラッシュ技術の変遷をおおまかに振り返った。

講演のアウトライン。3D NANDフラッシュの開発ロードマップと要素技術、次世代メモリと埋め込みメモリの開発ロードマップなどを解説する。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)

 今回は、3D NANDフラッシュ技術の高密度化をけん引してきた高層化と多値化の推移について述べよう。ベンダーはSamsung Electronics(Samsung)、Micron Technology(Micron)、Intel、キオクシア、Western Digital(WD)、SK hynix、YMTCの7社である。なおキオクシアとWDは開発と製造で連合を組んでいる。MicronとIntelは、ワード線の積層数で96層の世代までは共同開発で提携していた。96層を超える世代は、独自開発となっている。

TLCからQLCへの進化は高層化の1世代分に相当

 ここで一応、高層化と多値化について簡単に説明しておきたい。

 高層化とは、メモリセルを垂直に積み上げる層数、あるいはセルトランジスタのワード線(ゲート)の層数を増やすことを意味する。3次元(3D) NANDフラッシュの記憶密度を高める要素技術群の中では基本かつ効果的な技術だ。

 多値化とは、1個のメモリセルに2ビット以上のデータを記憶することを意味する。2ビットを記憶する場合を「MLC」、3ビットを記憶する場合を「TLC」、4ビットを記憶する場合を「QLC」と呼ぶ。

 高層化は、ワード線の積層数で32/36層から始まった。多値記憶ではMLC方式とTLC方式が混在していた。これが次世代の48層になると、多値記憶はTLC方式に一本化する。

 プレーナー(2D)NANDフラッシュの記憶密度は、TLC方式で最大1Gビット/mm2くらいに達していた。48層のTLC方式だと、プレーナーNANDのTLC方式に比べて2.5倍前後の記憶密度を達成できた。さらに次世代の64/72層になると、同じTLC方式で記憶密度は48層の1.3倍〜1.4倍に向上する。具体的には3Gビット/mm2〜4Gビット/mm2前後である。

 64層の世代で重要な出来事は、QLC方式を製品に採用したことだ。64層以降のNANDフラッシュ製品はTLC方式とQLC方式が混在する。QLC方式の効果は大きい。さらに次世代の92/96層のTLC方式と同等以上の記憶密度を達成している。具体的には、6Gビット/mm2前後である。

 QLC方式でワード線の積層数を92/96層に高層化すると、記憶密度は1.5倍前後に増える。8Gビット/mm2〜9Gビット/mm2に達する。128層のTLC方式と記憶密度ではあまり変わらない。

3D NANDフラッシュの高層化および多値化と記憶密度の推移。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)
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