XilinxとMavenirは2021年4月13日(米国時間)、5G(第5世代移動通信)、4G向けにOpen RANに対応したMassive MIMOを実現するポートフォリオを発表した。
XilinxとMavenirは2021年4月13日(米国時間)、5G(第5世代移動通信)、4G向けにOpen RANに対応したMassive MIMOを実現するポートフォリオを発表した。
同ポートフォリオは、Mavenirの仮想化RAN(vRAN)ソフトウェアと、Xilinxの「Zynq RF SoC DFE」および、ビームフォーミング用IP(Intellectual Property)などを実装した適応型SoC(System on Chip)「Versal AI」で構成される。Open RAN普及に向けて設立されたOpen RAN Alliance(O-RAN)がフロントホール仕様として採用した「Split Option 7.2」と、O-RU(O-RAN対応の無線ユニット)が採用する仕様「Category B」に準拠する。
Zynq RF SoC DFEは、Xilinxが2020年10月に発表した基地局向けのSoCで、RFデータコンバーターとプログラマブルロジックを統合したもの。Zynq RF SoC DFEで信号処理を行い、ビームフォーミングなどを含めたその他の処理はVersal AIが担う。
Mavenirは、Open RANを実現する仮想化RAN(vRAN)ソフトウェアに強みを持つベンダーだ。Xilinx WWGビジネスでリードシニアディレクターを務めるGilles Garcia氏は「Open RAN対応のMassive MIMO実現においては、ハードウェア同様に、システムインテグレーションを実現するソフトウェアも重要になる」と強調する。「MavenirのvRANソフトウェアはフルデジタルのビームフォーミングをサポートし、下り通信で最大16レイヤーのMU-MIMO(Multi-User MIMO)を実現する。さらに、先端の受信アルゴリズムによって、上り通信の性能も強化される」(同氏)。なお、MavenirのvRANソフトウェアは、同社のクラウドネイティブプラットフォームの他、どのOpen RANクラウドプラットフォーム上でも動作する。
新しいポートフォリオは、まずは送受信機(TRX)を64個備え、最大400MHzの瞬間帯域幅をサポートするバージョンが2021年第4四半期にリリースされる。その後、32TRXのバージョンをリリースする計画だ。「64TRXに対する需要が、特に都市部で強いため、64TRXバージョンから先にリリースすることにした。2021年内には、数多くの実証実験が行われる予定だ。2022年以降に、今回のポートフォリオを搭載した製品が市場で使われ始めるだろう」(Garcia氏)
今回発表したポートフォリオを用いることで、Massive MIMOを導入したOpen RAN対応の基地局を実現できる。Garcia氏は、「われわれが今回のポートフォリオを開発した理由は、Open RANの5G向けに、高性能、ハイパワー(=電波強度が強い)の基地局のニーズに応えるためだ。われわれが提供するソリューションは、従来のMassive MIMOに比べて、性能、電波強度、コストのバランスが優れていると確信している」と述べる。「さらに、ビームフォーミング用アルゴリズムなどに進化に対応できる適応性を、ハードウェア、ソフトウェアともに備えている」(Garcia氏)
Garcia氏は、MavenirとXilinxによって、Open RANのMassive MIMOに向けた完全なソリューションがそろい、5Gの進化に応じたニーズに応えられるようになると強調する。
Open RANへの注目度は、ここ数年で急激に高まっている。ABI Researchは、Open RANに対するネットワークベンダーの支出が2026〜2027年に100億米ドルに達し、2030年には、従来のRANを上回る300億米ドルになると予測している。
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