今回は、Western Digitalの2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)の業績を紹介する。
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)と米Western Digital(以降はWDと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はSeagateが2021年4月22日、WDが同年4月29日である。そこで前回は、Seagateの四半期業績をご説明した。今回はWDの四半期業績をご報告する。
WDの会計期間もSeagateと同様に7月から始まり、6月を決算月とする。4月29日にWDが発表したのは2021年1月〜3月の四半期業績で、会計年度では「2021会計年度第3四半期」となる。
2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)の売上高は前四半期比(前期比)4.9%増、前年同期比0.91%減の41億3700万米ドルである。前期比では前の四半期(2021年度第2四半期)に続いて増加した。前年同期比は3四半期連続で減少したものの、減少幅そのものは前の四半期(参考記事:「HDD大手Western Digitalの業績、前年同期比の営業利益が4四半期連続で増加」)の同6.9%減に比べて非常に小さくなっており、今後に期待が持てる結果となった。
2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)の営業利益(Non-GAAPベース)は前四半期比(前期比)20.1%増、前年同期比3.5%減の4億1200万米ドルである。前期比は前の四半期に続いて増加した。前年同期比は5四半期ぶりの減少となった。粗利益率は27.7%である。前の四半期と比べて1.3ポイント上昇し、前年同期と比べて0.2ポイント下降した。売上高営業利益率は10.0%で前四半期の8.7%から1.3ポイント上昇した。
2021会計年度第3四半期(2021年1月〜3月期)の概況としては、データセンター向けストレージの需要が堅調だったほか、ゲーム機器向けとコンシューマー機器向けのストレージの需要が拡大して全体の売り上げに貢献した。
フラッシュメモリとその応用製品では、第2世代のエンタープライズ向けNVMe SSDの販売が大手クラウドサービス企業向けで拡大した。112層のメモリセルを積層した第5世代(BiCS5)の3D NANDフラッシュメモリが伸びており、ビット換算の出荷数量が2021年(暦年)後半には前の世代を超える見込みである。また162層のメモリセルを積層するとともに周辺回路とセルアレイを積層した第6世代(BiCS6)の3D NANDフラッシュメモリを開発したことをこの四半期で発表した。
HDD製品では、エネルギーアシスト磁気記録HDD(ePMR HDD)が大手クラウドサービス企業のほぼすべてから認証を獲得した。また記憶容量が18TBと大容量のHDDに関する長期販売契約を複数の大手クラウドサービス企業と結んだ。販売チャンネルではリテール(販売店)のHDD需要が予想を上回った。テレワークやオンライン学習、巣ごもりの娯楽などによる需要が引き続き強い。
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