東芝デバイス&ストレージとジャパンセミコンダクターは2021年6月、車載アナログIC向け高耐圧LDMOSの「静電破壊耐量」と「電力効率」を両立させる技術を開発した。
東芝デバイス&ストレージとジャパンセミコンダクターは2021年6月、車載アナログIC向け高耐圧LDMOS(Laterally Double Diffused MOS)の「静電破壊耐量」と「電力効率」を両立させる技術を開発したと発表した。
バッグゲート比率(ソース幅とバックゲート幅の合計値に占めるバックゲート幅の割合)を高めていくと、デバイスの横方向に作用する寄生バイポーラ動作が抑制され、HBM(人体帯電モデル)耐量が向上するといわれている。しかし、バックゲート比率を高めるとそれに応じてオン抵抗も増大する。このため、優れたHBM耐量と低オン抵抗を両立させることは難しいといわれてきた。
両社は今回、複数の耐圧でLDMOSのHBM耐量を評価し、デバイスの動作をシミュレーションした。この結果、40Vの低耐圧では横方向の寄生バイポーラ動作が支配的となる。これに対し96Vの高耐圧では、横方向に加え縦方向にも寄生バイポーラが有効に動作するため、バッグゲート比率はHBM耐量に比例しないことが分かった。このことから、バックゲート比率を高めずに、HBM耐量を向上させられるという。
耐圧80V以上のLDMOSを搭載したアナログICは主に、電動パワーステアリングやエンジンの制御などに用いられているという。東芝デバイス&ストレージは、今回開発したLDMOS以外でも、さまざまな耐圧や用途に向けたLDMOSを用意している。高耐圧アナログICに車載向け不揮発性メモリを混載(eNVM)した第5世代プロセス製品も既に開発中だという。
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