テレワークレベルでも安心できる環境ではない、ドイツのインターネット事情。
この記事は、2021年6月28日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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新型コロナのパンデミック以降、世界的に採用が広がったテレワーク。ドイツはコロナ前のテレワーク比率は全体の約4%程度と、「テレワーク後進国」でしたが、コロナ以降その比率は拡大。2021年1月には「やむを得ない運用上の理由」がない場合、従業員にホームオフィスを提供することが雇用主に義務付けられ、2月時点で約30%がホームオフィスをしていたといいます。この義務については、今年6月末に失効する予定で、今後多くの企業が出社を求めていくことが予想されていますが、もちろんホームオフィスを制度化して今後も継続していく企業も少なくありません。ただ、そうしたテレワークの生命線であるインターネット環境に関して、昔から「ドイツはかなり遅れている」といわれていました。
ネット環境の問題については、ドイツ人の共通認識のようでしばしばネタ的にも扱われています。昨年末には、田舎の村に住む男性が4.5ギガバイトのデータを転送サービスを介して送るのと、DVDに焼いて馬に乗ったメッセンジャーが10キロ先の目的地に持っていくのとどちらが速いかと実験したところ、馬が圧勝したというニュースもありました(馬が104分後に配達を完了したのに対し、ネット経由では5時間以上の時間が必要だったそうです。ちなみに馬はのんびりと歩いてました)。彼は自宅に光ケーブルを設置したものの、通信事業者が対応できないため、結局、電話回線しか利用できないという状況だったのです。
上の例は冗談半分のような実験でしたが、ネット環境に関する不満を口にする人は多く、国外と比較したそのその遅れなど、その状況については報道でも時々取り上げられています。この問題に関連しよく指摘されているのが、ドイツの光回線の普及率の低さです。現地報道(2021年2月26日、Tagesschau)によると、ドイツで光配線方式の光回線(FTTH/B)を使用しているのは、大都市や企業の投資や住民の意欲が高い地方などごく一部だけで、その割合はドイツ全体の約13.8%(当時情報)と、EUの平均33.5%から比べて低水準となっているということです。
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