同氏は、「Optaneは今のところ、優れたソフトウェアエコシステムのサポートなしには簡単に導入することができない。Intelは、ハードウェアだけで『Optane パーシステント・メモリー』に『App Directモード』でネイティブアクセスすることを許可しているが、そのためには新しいAPIが必要だ。それはつまり、DRAM向けに記述されている既存のアプリケーションを書き換えなければならないということを意味する。もう1つのモードは、ファームウェアを使用して設定する『メモリモード』で、これはDRAMとの互換性を維持できるが、永続性がないためにDRAMよりも速度が低い。全てがハードウェア定義されているため、もし仮想マシンが2台以上ある場合や、サーバ上に用意されたアプリケーションが2つ以上あるなどの場合は、柔軟な対応が難しい」と述べている。
「そこで、MemVergeの出番だ。われわれは、はるかに簡素化されたアプリケーションを提供することによって、新しい種類のメモリの導入をサポートすることができる。当社の『Memory Machine』ソフトウェアは、さまざまな種類のメモリ間で、階層化されたアルゴリズムを採用することにより、ハードウェアがメモリモードで実行する内容を再現できる。アプリケーション向けに、ソフトウェア定義されたDRAMとの互換性を備えたインタフェースを提供することができるため、顧客側は自社製アプリケーションを書き換える必要がない」(同氏)
また同氏は、「それと同時に、Optaneの永続性へのアクセスを維持することもできる。われわれは、アプリケーション向けに提供可能なメモリの他にも、さまざまなデータサービスを作成している。その1つであるZeroIOスナップショット技術は、ストレージのI/Oが不要なため、テラバイト級のデータをスナップショットすることが可能な他、永続性メモリから数秒以内にリカバリーすることができるため、従来のようにストレージから数分〜数時間を要するようなこともない。ページ間の変化を追跡することで、これを何度も繰り返し実行することができる。このため、アプリケーション上で一連の自動保存が可能になり、リカバリーやセキュリティ、ワークフローなどの目的に関係なく再閲覧できるようになる」と述べる。
米国の市場調査会社であるIDCのインフラストラクチャシステム/プラットフォーム/技術グループ担当リサーチバイスプレジデントを務めるEric Burgener氏は、「MemVergeが提供する製品には、魅力的な側面が2つある。1つは、さまざまな新しいAI(人工知能)が、バックエンドで大量のデータを必要とするワークロードを駆動するという点だ。これは基本的に、ある種のAIを使用するデータサイエンスアプリケーションだといえる。機械学習や深層学習だけでなく、単純なAIアプリケーションでさえ、自動運転車などのようにリアルタイムで実行されるものがますます増えている。このような種類のワークロードでは、全ての推論を実行するCPUにデータを送信しているため、データアクセスを実行するには、なんとしても超低レイテンシを実現する必要がある」と述べる。
Burgener氏は、「もしこれらのワークロードが、NVMe(NVM Express)ベースのSSDではなく、メインメモリにより多くのデータを送信できるのであれば、レイテンシを約10分の1に低減することが可能だ。それでも、DRAMと比べるとはるかにレイテンシは低い。Optaneは、約3〜400ナノ秒のアクセス時間を実現する。ブロックベースのOptane SSDアプリケーションの場合、レイテンシを大幅に低減することはできないが、このような性能は、金融系ワークロード向けの高度なトランザクションアプリケーションに対応するためのものだ。銀行は、もし高速化を実現可能な技術があるなら、導入したいと思うだろう。また、取引アプリケーションはAIを使用するため、CPUにもデータを送信し続けなければならない」と述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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