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» 2021年07月07日 15時30分 公開

動作時の消費電流がわずか990nAの1セル電池保護ICイヤフォンの待ち受け時間は3倍に

エイブリックは2021年7月6日、動作時の消費電流が最大で990nAと極めて低い1セルバッテリー保護IC「S-82M1A/S-82N1A/S-82N1Bシリーズ」の販売を開始したと発表した。ウェアラブル機器やワイヤレスイヤフォン、補聴器などに搭載されるリチウムイオン二次電池パック、リチウムポリマー二次電池パックの用途に向ける。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 エイブリックは2021年7月6日、動作時の消費電流が最大で990nAと極めて低い1セルバッテリー保護IC「S-82M1A/S-82N1A/S-82N1Bシリーズ」の販売を開始したと発表した。ウェアラブル機器やワイヤレスイヤフォン、補聴器などに搭載されるリチウムイオン二次電池パック、リチウムポリマー二次電池パックの用途に向ける。

 S-82M1A/S-82N1A/S-82N1Bシリーズは、990nAの動作時消費電流と、±15mVと高精度の過充電検出電圧精度を実現。開発においては、「消費電流をいかに小さく抑えるか」を重視したとエイブリックは説明する。

地道な回路調整で実現

 「新しい技術を採用したわけではなく、回路を少しずつ調整し、消費電流の低減を積み重ねていくことで、超低消費電流を実現することができた」(同社)。これにより、2016年に発表した既存のシリーズである「S-82A1/S-82B1」に比べ、動作時の消費電流を最大で4分の1にまで低減することに成功した。具体的には、S-82A1/S-82B1シリーズでは、動作時の消費電流が最大4.0μA、標準で2.0μAだが、新シリーズでは最大990nA、標準で600nAとなっている。「もともと、既存シリーズでも、競合他社品に比較して低消費電流だったが、新シリーズによってさらに消費電流を削減できた」とエイブリックは述べる。

 S-82N1Bは、外部から「PS(パワーセービング信号入力)端子」に信号を入力することで、電池パックからの放電を禁止させるパワーセービング機能を動作させることができる。それとともに、S-82N1B自身の消費電流を最大50nAと、ほぼゼロに抑える。これにより、電池パックを搭載した機器の在庫期間中(=未使用)に、電池の残量がゼロになるまでの時間を長期化することができる。電池の放電による故障や不具合を防止できるので、製品の安全性の強化につながる。

「S-82N1B」を用いた保護回路の例。「PS」端子に信号を入力することで、電池パックの放電を禁止できる 出典:エイブリック(クリックで拡大)

 S-82M1Aは、より高精度な過電流保護を実現できるシリーズだ。外付けされているセンス抵抗で過電流を検出するので、パワーMOSFETのオン抵抗で過電流を検出するS-82N1BとS-82N1Aよりも、高精度な過電流保護が可能になる。「センス抵抗を外付けするので部品点数は多くなるが、補聴器など安全性や信頼性を求められる医療機器でのニーズに応えられる」とエイブリックは説明する。

 S-82N1Aでは、外部からCTL(充放電制御信号入力)端子に信号を入力することで、充放電制御機能を動作させ、電池パックの充放電を禁止できる。さらに、CTL端子にPTCサーミスターを接続することで、高温時に電池パックの充放電を禁止する過熱保護を実現することが可能だ。

図版左が「S-82M1A」、中央が「S-82N1A」を用いた保護回路の例。

 これらの特長から、新シリーズを用いると、例えばワイヤレスイヤフォンの待ち受け時間が、エイブリックの従来品を使用する場合に比べて約3倍になるとする。

 その他の主な仕様は、過充電検出電圧は3.5〜4.6V±15mV、過放電検出電圧が2.0〜3.0V±15mV。放電過電流検出電圧が0.003〜0.100V±3mVで、充電過電流検出電圧は−0.100〜−0.003V±3mV。動作温度が−40〜85℃で、1.57×1.8×0.5mmのSNT-6Aパッケージで提供される。

 サンプル価格は、S-82N1Bが85円で、S-82N1A/S-82M1Aが70円。販売目標は、今後3年間で累積1億個としている。

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