債務超過に陥っている中国の半導体企業「Tsinghua Unigroup(清華紫光集団)」が、破産を認めた。3D NAND型フラッシュメモリベンチャーである YMTC(Yangtze Memory Technologies Corporation)や半導体設計を手掛けるUnisoc(Shanghai)Technologiesなどの半導体メーカーを傘下に持つ中国の持株会社である同社は、企業再編を進めることを明らかにした。
債務超過に陥っている中国の半導体企業Tsinghua Unigroup(清華紫光集団)が、破産を認めた。3D NANDフラッシュベンチャーである YMTC(Yangtze Memory Technologies Corporation)や半導体設計を手掛けるUnisoc Technologiesなどの半導体メーカーを傘下に持つ中国の持株会社である同社は、企業再編を進めることを明らかにした。
清華紫光集団はWebサイトの声明の中で、「当社の債権者は、当グループが債務を返済できず、資産は債務返済に不十分であると述べており、当グループが破綻していることは間違いない」と認めた。
清華紫光集団は、「北京第1中級人民法院に再編を申請した」と説明。「今後は、司法審査や、債務リスクの軽減作業、中国の法律を順守した債権者の法的権利と利益の保護に向けて、裁判所に全面的に協力する」としている。
Reuters(ロイター通信)によると、2020年6月時点の清華紫光集団の負債額は310億米ドルであるのに対し、流動資産は80億米ドルだという。ロイターは、「同社は2020年末までに、約36億米ドル相当のオンショア債およびオフショア債でデフォルトまたはクロスデフォルトに陥っていた」と報じている。
清華紫光集団は、近年、中国の半導体産業の強化に最も多くの資金を投じてきた企業の1つだ。同社は2015年、230億米ドルを投じてMicron Technologyを買収しようとしたが、米中の貿易戦争が激化したため実現に至らなかった。清華紫光集団は、中国のTsinghua University(清華大学)が株式の51%を所有し、元不動産王のZhao Weiguo氏が率いている。
清華紫光集団の破産前の2020年11月にも、中国の半導体メーカーであるHSMC(Hongxin Semiconductor Manufacturing Corporation)が同様の財務破綻に陥っている。HSMCは、TSMCに対抗するために設立された半導体ファウンドリーだ。
HSMCは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの発祥地とされる武漢の市政府に引き継がれ、武漢市の東西湖区政府の国務院国有資産監督管理委員会の管理下に置かれている。HSMCは、COVID-19の大流行とキャッシュフロー不足の犠牲になった。
トランプ前大統領の政権では、米国の主要な戦略的競争相手である中国が5G(第5世代移動通信)やAI(人工知能)のような主要分野で優位に立つことを恐れ、中国の半導体産業の進展を妨げた。米国は2020年に、上海のSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)に供給された機器が軍事目的に使用される可能性があり容認し難いリスクがあると結論づけ、同社への技術輸出を制限した。米国は、中国へのEDAツールやチップ製造装置の輸出を制限し、SMICやHSMCの拡大を制限していいる。
中国の経済にとって半導体チップは不可欠だ。中国は世界最大の半導体市場を有するが、国内のチップ需要の20%未満しか供給できていない。年間3000億米ドル以上の半導体を輸入しており、その額は石油の輸入額を上回っている。
清華紫光集団は、再建計画の詳細を明らかにしていない。
2020年11月、YMTCの元会長代理は、同社がNANDフラッシュ技術でSamsung ElectronicsやMicron Technologyをリードする態勢にあり、ライバル企業にライセンス供与する可能性が非常に高いと述べている。また、Unisocは、5G、Wi-Fi、Bluetooth、TV、衛星通信用のチップを設計している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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