モバイル加入契約における5G契約の割合を地域別にみると、2020年時点では韓国、中国そして日本を含む北東アジアが最も高い9%となっている。ただ、2026年には北東アジアは65%なのに対して、北米が84%、西欧が69%となるほか、湾岸協力会議(GCC:Gulf Cooperation Council)諸国*)も73%と急速に拡大する見込みだという。
*)GCC諸国:サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマール、カタール、クウェート
同社は、このGCC諸国に関して、「世界で最も先進的なICT市場の1つ」と説明している。GCCの通信事業者は、世界で最初に5Gの商用運用を開始した事業者の一部といい、2019年には加盟国の大部分で商用サービスが利用可能となっている。2020年末時点でスマホ普及率は82%と北東アジアに次いで2位、スマホ1台あたりの月間データトラフィックは2020年末には18GBを超え、世界最高の水準に達している。
CGCの5Gモバイル加入契約数は2026年末までに6200万件に達すると予測されており、同社は、「GCC諸国の経済は原油と関連サービスに大きく依存してきたが、原油価格の不安定さと石油最盛期を過ぎたという認識から、近年、政府は経済を多様化させ原油への依存度を引き下げることに注力している。その結果、技術革新を促進するために政府がデジタルイニシアチブの普及を後押ししている」と説明している。
なお、中東および北アフリカ地域の主要な数値からGCC諸国の統計を分離するのは、今回のモビリティレポートが初となる。
FWAについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、高速かつ高信頼の家庭用ブロードバンド接続の重要性、ニーズが高まったことなどを背景に加入数が増加。5Gの普及に合わせ、さらに拡大していく見込みだ。
同社によると、FWAサービスを提供する事業者は2018年から2年足らずで倍増し、2021年4月時点で224社と既に世界の通信事業者の70%以上がFWAサービスを提供。さらに、5Gを提供する事業者に限ってみると87%が4Gや5GのFWAサービスを提供しているという。
FWAサービス拡大の要因としては、パンデミックによる影響や各国の普及に向けた各種プログラムや助成金の他、より広帯域の周波数割り当てと技術進歩による容量の増加によって、DSLやケーブル、ファイバーなどの固定サービスと比較して、FWAがますますコスト効率の良い選択肢になっていることが挙げられる。また、藤岡氏は、同社が2020年12月、Telecom Italia Mobile(TIM)、Qualcommとともに行った試験で、26GHzミリ波周波数で6.5kmの長距離で通信し、1Gビット/秒の速度を実現したことなど、技術革新の影響にも言及していた。
こうした背景から、FWA接続数は2026年末までに1億8000万を超え、約6億5000万人が利用する見込みだ。そのうち40%にあたる7000万が5G FWAとなる見込みだという。
FWAデータトラフィックは、2020年末までに全世界のモバイルネットワークデータトラフィックの約15%を占めており、2026年には月間764EBと全世界のモバイルネットワークデータトラフィック全体の20%を占めると予測されている。
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