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ADAS/自動運転関連事故の報告命令、重要トピックQ&A安全な自動運転実現に向け(1/3 ページ)

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)によるSAE(Society of Automotive Engineers)レベル2のADAS(先進運転支援システム)搭載車に関する衝突事故の報告を義務付ける事故報告命令。その重要トピックについて、NHTSA独自の言葉を用いながら、Q&A形式で概要をまとめる。

» 2021年07月21日 10時30分 公開
[Egil JuliussenEE Times]

 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2021年6月29日(米国時間)、SAE(Society of Automotive Engineers)レベル2のADAS(先進運転支援システム)搭載車に関する衝突事故の報告を義務付ける事故報告命令を発付し、業界を驚かせた。命令の対象には、自動運転システム(ADS:Automated Driving System)を搭載した車両あるいは、SAEレベル3/4/5の自動運転車も含まれるという。

 現在、レベル3の自動車に関しては、販売が開始されたところだが、その販売を推進すべきかどうかについてはまた別の問題である。また、レベル4の自動車は、広範にわたり試験が進められているが、レベル5の自動車については、まだ将来的な実用化には程遠い状況にある。

 37ページに及ぶ報告命令は、本当に必要とされている交通規則の実現に向けた取り組みである。以下に、今回の命令に関する重要なトピックについて、NHTSA独自の言葉を用いながら、Q&A形式で概要をまとめていきたい。

 以下に、この表の内容について説明していこう。

NHTSAの命令に関する概要

Q:NHTSAが今回、衝突事故の報告を義務付け命令を発令した理由は。

A:今回の命令は、事故に関する通知を適時受け取ることで、SAEレベル2のADASやADS技術を搭載した自動車などの、潜在的な安全上の欠陥に関する情報を提供できるようにすべく発付した。

Q:今回の命令に対し、消費者個人としてはどのような対応が必要になるのか。

A:命令の報告義務の対象となるのは、ADSおよびSAEレベル2の自動車を手掛ける自動車/機器メーカーや事業者だけだ。命令には、対象となる企業名が明示されており、個人の消費者や、自動車ディーラーなどの他の事業体に義務が課されることはない。

Q:どのような種類の事故や衝突について、報告が義務付けられているのか。

A:メーカーや事業者は、米国内の公道で、自社の自動車や、SAEレベル2のADAS、またはADS技術(両方の技術を搭載した自動車や、試験中の試作システムなども含む)が関与した衝突事故が発生した場合に、報告しなければならない。報告義務があるのは、衝突の発生時または衝突の直前(30秒未満)の時点で関与したSAEレベル2のADAS/ADS搭載車両で、それによって障害事故や死亡事故、物損事故になった場合が対象となる。

Q:事故報告の提出期限は。

A:衝突事故において、病院での治療を必要とする怪我人や死亡者が出たり、車両のけん引、エアバックの展開の他、歩行者や自転車などの交通弱者が巻き込まれたりした場合、メーカーは、事故の発生を知ってから1日以内に報告しなければならない。また、知らせを受けてから10日後には、最新版の報告書を提出する必要がある。

Q:企業が命令の衝突報告義務に違反した場合は、どうなるのか。

A:違反者には、民事制裁金が課されることになる。現在のところ、1回の違反につき1日当たり最大2万2992米ドル、関連する一連の違反については最大で1億1495万4525米ドルの罰則金が科される。またNHTSAは、司法省に照会し、規則順守を強制する民事訴訟を申し立てることもできる。

Q:命令によって定められた衝突報告は、一般に公開されるのか。

A:NHTSAは、命令に基づいて受領した衝突に関する情報の概要をまとめ、一般に公開する。命令に基づいて受領した情報を処理して、NHTSA.govで公開する予定だ。法律に従い、個人を特定するような情報(衝突事故に巻き込まれた個人に関する情報など)や企業の機密情報など、特定の情報については公開しない。

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