メディア

ADAS/自動運転関連事故の報告命令、重要トピックQ&A安全な自動運転実現に向け(2/3 ページ)

» 2021年07月21日 10時30分 公開
[Egil JuliussenEE Times]

「衝突」の詳細や対象企業は

 今回の命令は、2024年6月末まで3年間継続する予定で、極めて有益なデータを提供することができるだろう。命令の有効期限終了後も、同様のデータが必要になるとみられる。

衝突の種類

 前ぺージの表では、衝突の種類についても説明している。まず1つ目の要件としては、SAEレベル2のADASまたはレベル3/4の自動運転車が、衝突発生時の30秒前の時点で関与している、ということがある。衝突の種類に関しては極めて明快で、負傷者や物的損害が発生した全ての事故が対象となる。死亡者や、病院での治療を必要とする負傷者、交通弱者、自動車のけん引、エアバックの展開などが発生した衝突が重要視される。

 ADS搭載車両が関与した衝突において(直接の関わりではない場合も)、負傷者や物的損傷が発生した場合は、毎月の報告義務が課される。

対象となる企業は

 SAEレベル2のADASおよびレベル3/4に関与するほぼ全ての企業が対象となる。NHTSAの命令には、108社のメーカーの社名と、各社の安全管理部門の住所がリストに掲載されている。各社の安全管理者には既に、NHTSA命令の書類が送付済みであり、それを受領した時点で命令の効力が生じる。このリストに掲載されていない企業は、自動運転車との関連性があまりないということになる。

 リストには、ほぼ全ての自動車メーカーが掲載されている。例えばAudiやBMW、Ford、GM、ホンダ(本田技研工業)、Hyundai、Kia、Mercedes-Benz、日産自動車、Stellantis、SUBARU、Tesla、トヨタ自動車、Volkswagen、Volvo Carなどだ。

 Tier1メーカーも数社、AptivやBosch、Continental、デンソー、Magna、Valeo、ZFなどが掲載されている。

 この他、トラック関連のメーカーとしては、Einrideや、Embark、Navistar、Paccar、Plus、TuSimple、Udelv、Volvo Trucksなどがリストに掲載されている。

 また、自動運転車向けソフトウェアプラットフォームの開発メーカーはすべて、掲載されている。Argo.aiやAurora、Baidu、Comma.ai、Cruise、Mobileye、Pony.ai、Waymo、WeRide、Yandex、Zooxなどだ。

 さらに、MaaS(Mobility as a Service)を手掛けるメーカーとして、BeepやEasyMile、Local Motors、Lyft、May Mobility、Navya、Motional、Nuro、Transdevなどが掲載されている。Uberは、同社の自動運転車部門をAuroraに売却したため、リストには入っていない。

 半導体メーカーやソフトウェアメーカーも、AimotiveやAmbarella、NVIDIA、Qualcommなどをはじめとする数社が掲載されている。

罰則規定

 NHTSAはセクションの中で罰則について丁寧に説明しているが、何度も繰り返して明示すべきだろう。1回の違反につき1日当たり約2万3000米ドルの罰金が科される。関連する一連の違反に対する罰金の最高額は、約1億1500万米ドルだ。命令を順守する上での強力な動機付けになるとみられる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.