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» 2021年08月03日 13時30分 公開

ADAS向け大電流、低インダクタンスのフェライトコイル新素材で従来比1.5倍の大電流に対応

TDKは2021年7月20日、独自開発したフェライト材料によって従来比1.5倍の大電流対応を実現した車載電源回路用フェライトコイル「HPL505032F1シリーズ」を開発したと発表した。独自の構造設計で低EMIを実現したうえ、「オープンショートのリスクゼロ」の高信頼性も備え、レベル4〜5のADAS向けを中心に展開していく。

[永山準,EE Times Japan]

 TDKは2021年7月20日、独自開発したフェライト材料によって従来比1.5倍の大電流対応を実現した車載電源回路用フェライトコイル「HPL505032F1シリーズ」を開発したと発表した。独自の構造設計で低EMIを実現したうえ、「オープンショートのリスクゼロ」の高信頼性も備え、レベル4〜5のADAS(先進運転支援システム)向けを中心に展開していく。

HPL505032F1シリーズの概要(同社) 出典:TDK

 HPL505032F1シリーズの最も大きな特長は、独自に開発された高透磁率かつ低損失のフェライトだ。HPLシリーズでは、Iコア、Fコアと呼ぶ2つのフェライトコアでフレームを挟む構造をとってきた。同社は今回、このフェライトを「Isat(直流重畳定格電流)の数値を向上させるために開発した独自素材に変更した」とし、結果、自社従来品(HPL505028)と比較して定格電流は1.5倍となる40〜50Aの大電流対応を可能にした。

HPL505032F1シリーズと従来品の定格電流の比較。青色がHPL505032F1シリーズ、灰色がHPL505028だ。インダクタンス80nHで比較、実線が室温、25℃環境、点線が高温、125℃環境だが、いずれも「圧倒的にIsatが向上している」(同社) 出典:TDK

独自開発のフェライト材、高効率を実現

 HPL505032F1シリーズは、上記のフレームをそのままコイルとして使用することで、通常の巻線タイプと比較して低い直流抵抗値を実現する。そこにコアレスが低い独自開発のフェライト材料を組み合わせたことで、競合品と比べて約2%の高効率を実現したという。

新製品と競合品(メタルコンポジットタイプ)との比較。青色がHPL505032F1シリーズ、ピンクが競合品だ。右グラフははコアロスを示しているが、独自開発のフェライト材料を用いた新製品は、競合品と比較し大幅に低ロスとなっている 出典:TDK

 また、HPLシリーズの特長として、コイル部分とフレーム部分が接合レスのため「オープンショートのリスクゼロ」という利点も有する他、高透磁率のフェライト材料とノイズ放射を限りなく低減した「磁束キャンセル構造」によってEMIの低減も実現。車載用途に求められる高い信頼性を確保している。HPL505032F1シリーズはAEC-Q200に準拠。動作温度範囲は−55〜+155℃だ。

左の図はHPLシリーズと一般的な巻線タイプのコイルとの磁束の分布の比較(青は磁束が弱く、赤は磁束が強い)。巻線タイプは中心から放射する形でノイズが見えるが、HPLシリーズは磁束の放射が低く均一に青い。右図はキャンセル構造についてで、黄色と緑の矢印はそれぞれ電流の方向を表している。黄色と緑の電流がそれぞれ反対の方向に向かっており「外周部分全て磁束がキャンセルされ、外に漏れづらい構造になっている」という 出典:TDK

 HPL505032F1シリーズは、車載用DC-DCコンバーターの回路向け。具体的にはレベル4〜5のADASにおけるカメラへのパワーの供給ラインを想定している(下図)。なお、同社は今後、より高周波対応が可能な製品を展開していく予定だとしている。

アプリケーション例 出典:TDK

 HPL505032F1シリーズのサンプル単価は100円。2021年7月から生産開始し、当初の月産数量は2万個を予定している。

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