インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは2021年8月31日、最大28Vの高電圧で140Wの電力を受給電できるUSB Power Delivery(USB PD)3.1に対応するマイコン「EZ-PD PMG1ファミリー」を発表した。同製品は2021年9月1日に開幕したオンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2021 秋」の同社ブースで公開されている。
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは2021年8月31日、最大28Vの高電圧で140Wの電力を受給電できるUSB Power Delivery(USB PD)3.1に対応するマイコン「EZ-PD PMG1ファミリー」を発表した。同製品は2021年9月1日に開幕したオンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2021 秋」(会期:2021年9月30日まで)の同社ブースで公開されている。
USB PDは、USBを介してより大きな電力の受給電を行うための規格。これまでUSB PDで受給電できる電力は100W(20V/5A)までだったが、2021年5月に最新規格として最大で240W(48V/5A)まで受給電可能なUSB PD 3.1が策定された。インフィニオンが発表したPMG1ファミリーは、このUSB PD 3.1に対応したデバイス。同社では「USB PD 3.1の対応は業界初」としている。
インフィニオンは、2015年のUSB PD規格登場以来、常に業界に先がけて最新規格/仕様に対応したUSB PDコントローラICを開発、製品化してきた*)。ただ、USB PD 3.1に新たに対応した新製品PMG1ファミリーは、従来のようにUSB PDコントローラICではなく、マイコン機能を備えた“USB PDコントローラ機能搭載マイコン”になっている点が大きな特長。電動工具や小型家電などさまざまなアプリケーションで、システム制御を行うマイコンとUSB PDコントローラICをPMG1ファミリー1チップに統合することができる。
*)USB PD関連事業はインフィニオンが2020年4月に買収したサイプレス セミコンダクタが展開してきた。
PMG1ファミリーの中で最も高性能なマイコン機能を備える「PMG1ーS3シリーズ」は、最大48MHzで動作するArm CortexM0+コアを搭載し、256Kバイト容量のフラッシュメモリ、32KバイトのSRAMを備える。ペリフェラルとしては、インフィニオンのプログラマブルSoC製品「PSoC」と同様、プログラム可能なアナログ/デジタルブロックを搭載。アナログブロックは、12ビット分解能のADCや静電容量式タッチコントローラ「CAPSENSE」を備え、デジタルブロックはI2CやSPI、UARTとして構成可能な8つのシリアル通信ブロックなどを備える。
さらに、AES、SHA2やベクトル演算ユニットをサポートするハードウェア暗号化エンジンを搭載。「ルータやベースステーションなど高度なセキュリティを要求される用途でも、セキュリティを担保してファームウェアの更新などが行えるようになっている」(同社)とする。
28V対応の高電圧レギュレーター、FETゲートドライバや、過電圧/過電流などの故障保護機能も統合し、少ない周辺部品で140WのUSB PDを実現できるようになっている。なお、PMG1ーS3シリーズでは、USB PD1ポート対応品とUSB PD2ポート対応品の2種がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.