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» 2021年09月10日 11時30分 公開

RISC-VベースのCPUが続々、シリコン市場参入の障壁を下げるこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(55)(2/3 ページ)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

RISC-Vでシリコン分野に乗り出す

 図3はフランスの新興半導体メーカーGreenWaves Technologies(以下、GreenWaves)が開発した、RISC-Vコアを8コア搭載したIoT(モノのインターネット)向けアプリケーションプロセッサ「GAP8」と、GAP8を使った中国PREFXLABのシステム開発キットである。

図3:GreenWavesの「GAP8」と、PREFXLABのシステム開発キット 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 新興メーカーもRISC-Vコアを用い、続々とシリコン分野に乗り出している事例である。半導体ICの設計、開発には膨大な費用と人員が必要となる。RISC-Vの存在は、開発力のある新興メーカーにとっては、新チップを作るハードルを若干下げてくれる。IPを購入する部分(導入する費用や手間)が省略され、自らの手によって作ることが可能になるからだ。GreenWavesのように、RISC-Vを活用して新たな価値を作る新興メーカーは今後も増えていくものと思われる。

 なお、GreenWavesは次世代の「GAP9」も既に発表しており、今後の動向が注目される1社になっている。今回はページの関係で取り上げていないが、GreenWavesのようなRISC-Vを用いた新興メーカーは他にも多数存在する。

 図4は、実シリコン化され販売が始まっているRISC-Vを用いた中国チップの事例である。他にも百円均一ショップで販売される電子機器や、家電量販店で販売されるワイヤレス商品にも、2021年になってから多数の中国製RISC-Vチップが出回っている。詳細は、有償のテカナリエレポートに掲載されているので、ぜひ弊社にお問い合わせいただきたい。

図4:続々製品化される中国製のRISC-Vコントローラー 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 図4の左は、「M5Stack」などのコンピュータで採用される中国ESPRESSIFのRISC-Vベースのチップである。ESPRESSIFは非常に多くの製品に搭載されており、M5Stackだけでなく、ルネサス エレクトロニクスのマイコンボード「GR-LYCHEE」では、ルネサス製マイコンと組み合わされている。

 スマートフォン連動のIoT機器やお掃除ロボットなど、多数の製品がESPRESSIFを採用している。従来製品でESPRESSIFはTensilicaのCPUを用いていたが、2021年には「C3」「S2」「S3」と立て続けにRISC-Vベースのチップを発売した。

 図4中央は、中国BOUFFALOのWi-Fi/Bluetoothコントローラー用チップである。本チップは、製品名は伏すが、既に実用化されている。図4の右は、シリアルフラッシュメモリやArmマイコンで有名な中国GigaDeviceのRISC-Vチップである。

 中国では、既に非常に多くの半導体メーカーがRISC-Vを用い、続々とチップを生み出しているわけだ。先に言及した百円均一ショップの商品では、上記とは異なる中国半導体メーカーのチップが活用されている。ひょっとしたら読者の身近な製品にも中国製のRISC-Vチップが搭載されているかもしれない……というほど、RISC-Vチップの実用化は広まっているのだ。

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