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» 2021年09月30日 09時30分 公開

BMW、GaNパワー半導体の供給確保へGaN Systemsとの契約締結で

GaN Systemsは、BMWとGaN(窒化ガリウム)トランジスタのキャパシティー(生産能力)を確保する契約を締結したことを発表した。供給が保証されることで、BMWはサプライチェーンの信頼性を確保することができる。GaN SystemsのCEO(最高経営責任者)を務めるJim Witham氏はインタビューの中で、「GaN Systemsは連続生産によって複数のアプリケーションに対応したキャパシティーを提供する」と述べている。

[Maurizio Di Paolo Emilio,EE Times]

 GaN Systemsは、BMWとGaN(窒化ガリウム)トランジスタのキャパシティー(生産能力)を確保する契約を締結したことを発表した。供給が保証されることで、BMWはサプライチェーンの信頼性を確保することができる。GaN SystemsのCEO(最高経営責任者)を務めるJim Witham氏はインタビューの中で、「GaN Systemsは連続生産によって複数のアプリケーションに対応したキャパシティーを提供する」と述べる。

GaN SystemsのCEO、Jim Witham氏

 電気自動車(EV)分野は、価格と航続距離という2つの大きな課題に直面している。そして後者は、EVが本格的に普及するために最も重要と考えられる。パワートレインの統合やワイドバンドギャップ半導体(GaNおよびSiC)の活用は、コスト削減とシステム効率の向上に向けたアプローチの1つである。スイッチング周波数を高め、ワイドバンドギャップ半導体の他の利点を活用することで、熱性能を向上させながら、車載コンポーネントを小型化することが可能になる。

 GaN技術は、EVの重要なアプリケーションの効率と電力密度の向上を目的としている。Witham氏は、「GaNパワーデバイスは、車載バッテリー充電器やDC-DCコンバーター、トラクションインバーター、ワイヤレス動力分配装置、LiDAR、12Vのオーディオアンプアプリケーションなど、幅広いEVアプリケーション向けに設計することができる」と述べている。

GaNとともに進化するEVアプリケーション

 GaNパワー半導体は、小型/軽量化と効率化を実現するために、次世代の高性能EVになくてはならないものになりつつある。これらの要因は、航続距離の懸念を払拭することにもつながるものだ。Witham氏は発表の中で、「BMWとの数億米ドル規模の契約は、自動車メーカーがイノベーションと持続可能性にいかに注力しているかを示している」と述べている。

 BMWとの契約によって、ワイドバンドギャップ半導体、とりわけそれらを用いたDC-DCコンバーターとドライブインバーターの小型化、軽量化、低価格化の進展が明らかになった。

 Witham氏は、「GaNを活用すれば、サイズと重さ、エネルギー損失がシリコンの4分の1のパワーエレクトロニクスシステムの開発が可能になる」と強調する。GaNは逆回復電流がほぼゼロであるため、バッテリー充電器やトラクションインバータのスイッチング損失の低減や、高周波化、スイッチング速度の高速化を図れるという利点がある。さらに、スイッチングのターンオン/ターンオフ損失が少ないため、EV充電器やインバーターなどのアプリケーション向けのコンデンサーやインダクター、トランス(変圧器)の重量と体積を削減できる。

 同社は、「こうしたメリットによって、車載バッテリー充電器のサイズを25%縮小し、トラクションインバーターの電力損失を70%以上削減すると同時に、電力変換損失を半減させた、軽量でコンパクトなDC-DCコンバーターを実現することができる」と述べている。

GaNパワー半導体のロードマップ[クリックで拡大] 出所:Yole Développement

 EVの普及が進めば、重要な半導体部品の需要が増加する可能性が高い。そのため、GaNプロバイダーとの戦略的パートナーシップがより重要になる。

 GaNのバンドギャップは3.4eVで、シリコン(1.1eV)の約3倍だ。シリコンに比べて電子の移動度が1000倍も速いため、効率が良い。その結果、熱管理が改善され、冷却装置の小型化、低コスト化が可能になる。

 Witham氏は、「自動車業界では電動化が進んでいるが、エコシステム全体の拡大に向けてやるべきことは山積している。EVの継続的な大量導入のためには、車両価格の低下、充電時間の短縮、走行距離の延長、EV充電インフラのネットワーク化などの課題に取り組まなければならない」と述べている。

 GaN技術は、サイズと重量の制約に対応し、電力と効率を向上させながら部品点数を減らすことができるといわれている。Witham氏は、「これらの特性は、電力密度の向上、車両の軽量化、航続距離の延長と同時に、EVのコスト削減に貢献する」と付け加えた。

 業界アナリストによると、例えば、リチウムイオン電池は電気自動車の価格の最大30%を占めているが、GaN技術の支持者は、GaNベースのコンポーネントがこれらのコスト削減に貢献できるとしている。一例をあげると、GaNを用いたインバーターは、現在のEV用インバーターに使われている従来の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタに比べ、70%もの効率向上が期待できる。

 その結果、充電器、トラクションインバーター、DC-DCコンバーターの小型化/軽量化による効率化が図られ、部品のパッケージングを簡素化しつつ、現在のバッテリー容量でより多くの走行距離を実現できるようになる。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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