また、機能再配置やハーネス重量削減の要求によってE/Eアーキテクチャが従来の分散型から集権型、そしてゾーン型へと進化していくなか、同社は車載SoC「R-Car」シリーズや32ビットマイコン「RH850」、16ビットマイコン「RL78」など「ローエンドからハイエンドまで全てのアプリケーションに対応できる」(同氏)と説明。ここではさらに、同日発表した新開発の第4世代R-Carシリーズ「R-Car S4」およびR-Car用PMIC「RAA271041」「RAA271005」によるコネクテッドゲートウェイソリューションを紹介した。
ゲートウェイ用SoCであるR-Car S4は、Armの「Cortex-A55」(最大1.2GHz)を8コア、「Cortex-R52」(最大1GHz)を1コア搭載しているほか、車載制御をサポートするため、R-Carとして初めて、RH850のCPUコアも2個内蔵。最大2万7000DMIPSのアプリケーション処理性能と最大5300DMIPSのリアルタイム性能を実現している。片岡氏は、「R-Car S4は非常にハイエンドなアプリケーションの処理も、リアルタイム処理も行える。Armコアと従来のRH850を両方搭載することで、幅広いソフトウェアのユーザービリティーを担保している」と説明した。
R-Car S4は、第3世代のR-CarやRH850用に開発されたソフトウェアを最大88%再利用することができるという。さらに同社は、各種ドライバやLinux BSP(Board Support Package)、ハイパーバイザーなどの基本ソフトウェアを含むソフトウェアパッケージも提供、リアルタイムコアを含むR-Car S4用ソフトウェア開発をサポートしていく。
また、CAN FD×16、LIN×16、SENT×8、FlexRay×1、PCIe V4.0×4、さらに2.5Gビット/秒の高帯域イーサネットTSN(Time Sensitive Networking)スイッチ×3など複数の通信インタフェースを搭載することで、車内外のさまざまな機器とのコネクティビティを実現している。
新PMICは、いずれも超低消費電力動作に対応。プリレギュレーターのPMIC「RAA271041」は、車両バッテリーの12V電源入力に対応し、ロードダンプやコールドクランキングパルスといった入力電圧変動時も出力を保持する。「RAA271005」は、RAA271041の出力を受け、R-Car S4と、LPDDR4xメモリなどの周辺機器が必要とする電源電圧に降圧し、最大で11チャネルを出力する。これらのPMICにより、車両のバッテリーからR-Carまで、信頼性の高いパワーソリューションを実現するという。
いずれも既にサンプル出荷を開始しており、評価ボードも提供している。同氏によると、両製品によるソリューションは既に大手自動車メーカー数社に、採用されているという。
なお、同社は同日、自動車サイバーセキュリティ国際規格「ISO/SAE 21434」に、2022年1月以降に新規開発する車載用のRL78、RH850、R-Carシリーズを順次、準拠させるとも発表している。
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