ルネサス、Wi-Fi 6/6Eチップの新興メーカーを買収:買収総額は約360億円
ルネサス エレクトロニクスは2021年10月28日、Wi-Fi用チップセットを展開するイスラエルの新興企業Celenoを買収し、完全子会社化することでCelenoと合意した発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2021年10月28日、Wi-Fi用チップセットを展開するイスラエルの新興企業Celenoを買収し、完全子会社化することでCelenoと合意したと発表した。買収総額は3億1500万米ドル(約360億円)で、手元資金で賄う。買収は2021年末までに完了させる予定。
Celenoは、イスラエルに本社を置く、Wi-Fi用チップセット専業の半導体メーカー。特に先端世代のWi-Fiに強く、ルネサスによると「Wi-Fi 6/6E(IEEE 802.11ax)向けチップセットは業界最小を誇り、セキュリティを担保しながら、高速のWi-Fi通信を低遅延かつ低電力で可能にしている」とする。2020年の業績は売上高3700万米ドルで、営業損益は860万米ドルの赤字になっていた。
Celenoの会社概要と買収の主な狙い[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス
ルネサスは、2021年8月にWi-FiやBluetooth用チップを手掛けるDialog Semiconductorの買収を完了させている。ルネサス社長兼CEO柴田英利氏は同日の決算説明会で「DialogのWi-Fi製品は、第4世代までのWi-Fi(Wi-Fi 4/IEEE 802.11n)までで、しかもローパワーに特化した製品だった。一方で、Celenoは、Dialogでは補いきれなかった第5世代以降のWi-Fi(Wi-Fi 5/IEEE 802.11ac)に強く、重複しない」と説明した。
柴田氏は「これまでCelenoは、アクセスポイント用の製品を展開してきたが、近年は、クライアント向けの製品にも注力しており、良いタイミングとみて買収を決めた。2022年のCeleno単体の売り上げは相当伸びる見通し。さらに、2023〜2024年には(ルネサスおよび旧Dialogの)Bluetoothと組み合わせたコンボチップを展開することで相当大きなシナジーを発揮できる」との見通しを語った。
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