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» 2021年11月02日 15時15分 公開

ASMLの新型EUV装置、ムーアの法則を今後10年延長可能に「2nmをはるかに超えるプロセス」可能に(1/2 ページ)

ASMLが、新しいEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の開発計画を発表した。EUVリソグラフィツールは今や、世界最先端の半導体市場において非常に重要な存在となっている。その分野で唯一のサプライヤーであるASMLの経営幹部によると、今回の新型装置の開発により、ムーアの法則はこの先少なくとも10年間は延長される見込みだという。

[Alan Patterson,EE Times]

 ASMLが、新しいEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の開発計画を発表した。EUVリソグラフィツールは今や、世界最先端の半導体市場において非常に重要な存在となっている。その分野で唯一のサプライヤーであるASMLの経営幹部によると、今回の新型装置の開発により、ムーアの法則はこの先少なくとも10年間は延長される見込みだという。

2023年前半には提供予定

 ASMLのバイスプレジデントを務めるTeun van Gogh氏は、米国EE Timesのインタビューの中で、「2023年前半には、顧客向けに装置を提供できる予定だ。レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)に関しては、既存装置の0.33から、0.55を上回るとみている。半導体メーカーがこの新型装置を使用すれば、現在限界とされている2nmをはるかに超えるプロセス技術を、少なくとも今後10年の間に実現できるようになるだろう」と述べている。

 また同氏は、「われわれは常に、顧客企業をサポートするツールを約2年ごとに提供できるよう取り組んできた。2023年末、より高いNAを実現する装置の出荷を開始できる頃には、さらなる顧客サポートを2年周期で提供できるようになるだろう。当社は、今回の新技術により、この先の10年間もさらなる顧客サポートを実現できると確信している」と述べる。

 ASMLは今後の予測として、「半導体メーカーは、新技術の適用により生産拡大を実現していく上で、最初に0.55NAを、最先端のウエハー層に向けたコスト削減効果の高いシングル露光EUVプロセスに適用しながら、マルチパターンの0.33NAと、成熟プロセス向けの旧式リソグラフィ技術とを併用することになるだろう。シングル露光の0.55NA技術は、今後約6年間で限界に達するとみられるため、半導体メーカーは、再びマルチパターニングを使用することで、トランジスタ密度をさらに高め、より高度なプロセスノードを実現できるようになるだろう」と述べている。

EUV装置と米中技術戦争

出所:ASML

 ASMLは、世界唯一のEUV装置メーカーだ。2010年に初めて、試作版のEUVツールを“アジアの顧客企業”(企業名は非公開)に提供した。半導体製造分野は現在、EUV装置を使用するメーカーと使用しないメーカーとに分かれている。EUVを使用しているのは、TSMCやSamsung Electronics、Intelなどで、AppleやMediaTek、Qualcommといった顧客企業向けに最先端チップを提供している。一方、EUVを使用していない半導体メーカーは、何年も前に最先端ノードの取り組みを途中で諦めている。数十億米ドル規模の設備投資を断念することにより、旧式の製造ラインによる利益向上を目指し、プロセス微細化によるメリットをほとんど享受することがない製品に力を入れてきたのだ。

 このようなメーカーとしては、SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corp)などの中国メーカーが挙げられる。SMICは、米中間の技術戦争が激化する最中、2020年に米国政府によってエンティティリストに追加されたため、EUVツールの調達を断念することになった。米国の投資会社Susquehanna International Group(SIG)のアナリストであり、ASMLとTSMCの動向を追っているMehdi Hosseini氏は、「中国メーカーが、ASMLの最新型EUVツールを調達するための許可を米国政府から得られるようになる可能性は低い」と述べている。

 同氏は、米国EE Timesの取材に応じ、「中国国内の工場は全て、EUVを調達することができない。中国国内に製造拠点を置いている多国籍企業の中には、SamsungやIntelも含まれる」と述べる。

 中国国外で、ロジック製造向けとしてEUVを使用することができるのは、IntelとTSMC、Samsungだけだ。Hosseini氏によると、SamsungとSK hynix、Micron Technologyは、EUVをDRAM用途向けとして使用する予定だという。

 ASMLは、「われわれとしては、当社製EUV装置の中国への輸出に関与することはできないため、EUV装置を使用する各国の法律、規則に従うしかない」と述べている。

 冷戦時代に策定された「ワッセナーアレンジメント(Wassenaar Arrangement)」は、商用目的と軍事目的の二重用途向けとされる最先端技術の輸出について規定している。米国は、近年加速している中国の半導体成長を鈍化させるべく、このワッセナーアレンジメントの輸出規制を利用したのだ。

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