ArmのCEO(最高経営責任者)を務めるSimon Segars氏は、ポルトガル リスボンで2021年11月1〜4日に開催された「Web Summit 2021」において、世界的な半導体不足について語り、注目を集めた。同氏は、半導体業界の健全性については楽観視しながらも、現在の危機的な状況を解決するまでにはまだ時間がかかる見込みだとしている。
ArmのCEO(最高経営責任者)を務めるSimon Segars氏は、ポルトガル リスボンで2021年11月1〜4日に開催された「Web Summit 2021」において、世界的な半導体不足について語り、注目を集めた。同氏は、半導体業界の健全性については楽観視しながらも、現在の危機的な状況を解決するまでにはまだ時間がかかる見込みだとしている。
Segars氏は、「ここで、まだクリスマス用のショッピングを済ませていない人や、予定していた全ての電子機器を注文済みの人たちに、残念な話をしなければならないことをとても心苦しく思う。なぜなら、欲しかった商品を全て買うことができない可能性があるためだ。その原因となっているのが、最近ニュースなどでよく耳にする、世界的な半導体不足である」と述べている。
「私は長年にわたり半導体業界に携わってきたが、今ほどの極限状態を経験したことがない。これまでにも、過剰供給や供給不足などが発生したことはあったが、現在ほど深刻ではなかった。今回、現在のような状況がどのように発生したのか、何が原因だったのか、そしてこのような状態から抜け出すには、今後投じられるであろう巨額の資金をどのように効果的に使えばよいのか、といった点について話をしていきたい」(Segars氏)
同氏は、「現在の危機的状況が発生するに至った主な原因は、“供給と需要のミスマッチ”にある。半導体チップの生産が、PCやゲーム機などのさまざまな家庭用デバイス向けに移行したために、他の機器メーカーでボトルネックが発生したのだ」と述べる。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった頃、多くのメーカーの対応は非常に迅速だった。人々にとってそれほど必要ではないだろうと思われる製品の生産を停止したのだ。実際にこうした製品の1つとされたのが、自動車である。どの半導体メーカーも、人々が本当に必要としている製品にターゲットを絞った。それは、リモートワークやホームスクーリングなどを行ったり、家族と連絡を取り合ったりするための、通信デバイスである。誰もがこのようなデバイスを必要としたのではないだろうか。そして、現在もまだその需要は大きい。自動車などの製品に対する需要がいつ頃再開するのか、誰も予測することができなかったのだ」(Segars氏)
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