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» 2021年11月30日 12時30分 公開

Appleの2021年Q3売上高が過去最高に部品の供給難の中

Appleの2021年第3四半期(7〜9月期)における売上高が、過去最高を記録した。半導体供給不足が続く中、スマートフォン出荷台数が全体的に減少しているにもかかわらずだ。

[Alan Patterson,EE Times]

 Appleの2021年第3四半期(7〜9月期)における売上高が、過去最高を記録した。半導体供給不足が続く中、スマートフォン出荷台数が全体的に減少しているにもかかわらずだ。

 同社のCEO(最高経営責任者)であるTim Cook氏は、「堅調な需要による後押しを受け、当社の2021年第3四半期決算の売上高は、過去最高となる834億米ドルに達した。サプライチェーンの混乱状態が悪化する中で、前年同期比29%増という急成長を遂げている」と語った。

 同氏は、四半期決算カンファレンスコールにおいて、「われわれとしては、さまざまな制約による売上高への影響は、約60億米ドル規模に達するとみていた。その主な要因としては、業界全体に広がっている半導体不足や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による製造の混乱などがある。『iPhone』や『iPad』『Mac』などが影響を受けた他、現在も当社製品の大半に影響が及んでいる」と述べた。

 市場調査会社のIDC(International Data Corporation)によると、Appleの世界スマートフォン出荷台数は、2021年第2四半期には2桁成長を遂げていたが、同年第3四半期に前年同期比で6.7%減となった。

 IDCのWorldwide Tracker Teamでリサーチディレクターを務めるNabila Popal氏は、「サプライチェーンや部品不足の問題は、ついにスマートフォン市場にも到来した。あらゆるベンダーが一様に、供給不足による影響を受けている。また部品不足の他に、製造/物流関連の問題による影響も業界全体に及んでいる」と述べている。

 同氏は、「COVID-19の検査や検疫が厳格化されたために、輸送に遅延が生じた他、中国の電力不足により、主要部品の製造が制限されるようになった」と付け加えた。

 Appleは前四半期に、このようなダブルパンチを食らってきたのだ。半導体不足に加え、パンデミックに関連した製造体制の混乱により、東南アジアの製造メーカーが数カ月間にわたり打撃を受けている。Appleとしては、このような制約状態は間もなく終わるとみているようだが、それでもCook氏は、「半導体サプライチェーンの混乱は、この先少なくとも3カ月間は続くだろう」と述べる。

Appleへの半導体供給は増加も、需要に追いつけず

 実際に供給状況は、改善の兆しを見せる前に、悪化する可能性がある。Appleは、部品の供給難による売上高への影響は、2021年第4四半期中により大きくなるとみているようだ。「現在、TSMCをはじめとするメーカー各社からのAppleへの半導体供給は、劇的に増加しているが、それでもまだ需要に対応しきれていない」(Cook氏)

 それでもAppleは、2021年第4四半期の売上高が過去最高に達すると予測している。同社は、「各製品カテゴリーの売上高が、対前年比で増加する見込みだ。ただし、iPadだけは例外で、部品不足の影響を受け、年間ベースでは減少するとみられる」と述べている。

 Appleの主要な半導体サプライヤーであるTSMCは、iPhone/iPad向け5nmチップを十分に生産できる見込みだ。しかし、ディスプレイドライバーやパワーマネジメントIC(PMIC)など、旧式の28nmプロセス技術を適用した製品に関しては引き続き供給が遅れ、Appleの製造に影響が及ぶとみられる。

 Cook氏は、「半導体不足は、レガシー技術において発生している。こうした問題のバランスがいつ頃とれるようになるのか、予測することは非常に難しい。2022年の経済状況や、あらゆる需要予測などを正確に把握しなければならないためだ」と述べる。

 IDCによると、スマートフォン出荷台数の低迷状況は、地域によって異なるという。中東欧やアジア(日本と中国は除く)は、過去最大規模となる23.2%の減少を記録し、前年比では11.6%減となった。一方、米国や西欧、中国では、ハイエンド機種への需要が高いためか減少幅は比較的小さかった。

 IDCによると、2021年第3四半期におけるSamsung Electronics(以下、Samsung)のスマートフォン出荷台数は6900万台で、シェア20.8%を獲得して首位となった。Samsungの出荷台数は、主に部品不足が原因となって14.2%減少している。第2位のAppleは、出荷台数が5040万台で、スマートフォン市場全体の15.2%のシェアを獲得した。IDCが「驚異的な数字だ」と評する、前年比20.8%の成長を遂げた。

 Appleは、Huaweiによって残された空白部分を埋めたとみられる。2020年第2四半期、Huaweiは、四半期のスマートフォン出荷台数でトップに立った。だが、米国政府がHuaweiをエンティティリストに追加したために、HuaweiはTSMCからの半導体供給を打ち切られ、トップの座から陥落することになる。TSMCはかつて、Huawei向けに7nmプロセス適用の「Kirin 980」プロセッサを製造していた。

2020年第2四半期におけるスマートフォンの出荷台数ランキング 出所:IDC Quarterly Mobile Phone Tracker(2020年7月30日)

 一方Appleは、半導体メーカーとの間で密接な協業体制を構築することにより、製造の一元化と利益率向上の実現に向けた取り組みを進めているという。Cook氏は、「リードタイムやサイクルタイムを短縮することにより、可能な限り迅速に半導体チップを工場から出荷し、製品に搭載して出荷できるようにしていく。また、製造パートナーが歩留まりを高められるようにするためのサポートも提供する」と述べている。

 さらに同氏は、米国内の半導体研究/製造を推進する米国半導体法案が議会を通過することを強く求めていくとした。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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