東京大学と物質・材料研究機構および、協和界面科学の共同研究グループは、200℃近い高温ウェットプロセスで、配向性の高い有機半導体ナノ薄膜を製造することに成功した。
東京大学大学院新領域創成科学研究科、同連携研究機構マテリアルイノベーション研究センター、同物性研究所、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA)および、協和界面科学の共同研究グループは2021年12月、200℃近い高温ウェットプロセスで、配向性の高い有機半導体ナノ薄膜を製造することに成功したと発表した。
高品質のナノ薄膜を製造する手法の1つとして、Langmuir-Blodgett(LB)法が広く利用されている。機能性分子を水面に展開することでナノメートル級の薄膜を形成し、それを基板に写し取り、固体状態の機能性薄膜を得る方法である。ところが、機能性分子を展開する液体は「水」に限定されており、LB法が適用可能な温度は室温付近に限られていた。
研究グループは今回、「イオン液体」に着目し、高温でも対応できるLBプロセスを開発した。イオン液体は、有機系の陽イオンと陰イオンによって構成された塩である。「高温でも液体の状態を保ち、蒸気圧はほぼゼロ」という特長がある。イオン液体上に機能性分子を展開し薄膜にすることで、これまでは対応できなかった高温LBプロセスを可能にした。また、協和界面科学と共同で、200℃付近の超高温まで耐えられる汎用的な高温LB装置の開発にも成功した。
開発した装置と超高温LB法を用いて、200℃近くの高温プロセスで有機半導体分子の成膜を行った。この結果、1cm2以上の広い面積に均質なナノ薄膜を形成、高い結晶性を得ることができたという。
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